“船爆発・沈没”そのとき猫は、海に飛び込み飼い主の元へ泳ぎ着く。

2013/08/20 16:33 Written by Narinari.com編集部

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27年にわたり、夏の数か月間は太平洋に出て漁を行ってきたという、米西海岸オレゴン州で暮らすある漁師夫婦。今年も7月末に出航した彼らだったが、順調に漁を続けていた最中の8月初旬、突然のアクシデントに襲われた。沖合約130キロの太平洋上で、乗っていた船のエンジンが爆発して船体に大きなダメージを負い、夫婦が脱出して間もなく船は沈没。夫婦は幸い無事に別の漁船に助けられたが、さらに一緒に乗って残してしまった2匹の猫が、沈んでいく船から海に飛び込んで泳いできてくれたおかげで、彼らは全員が助かった幸せを感じられたという。

米放送局NBC系列KTVZによると、船が沈むアクシデントに襲われたのは、オレゴン州中部の街ラ・パインに住むマーク・シュナイダーさん、シンシアさん夫妻。32年前に結婚した2人は、27年前から夏は数か月間に渡って太平洋へ出て、毎日12時間以上も魚を取り続ける生活を営んできたという。今年も7月30日に出航した2人は、わずか7日間で8トン半、約4万ドル(約390万円)相当分の魚を確保し、順調な漁を続けていたそうだ。

ところが迎えた8月5日の夕方頃、夫マークさんが船の定期検査を行った直後に事故は起きた。問題なかったはずのエンジンが突然数回爆発し、船は全体に大きなダメージを負ったという。17年前に購入して以来、夫婦が幾度もの修理や改造を行って使い続けて来た船は、彼らが思っていた以上にくたびれていたようだ。エンジンルームから離れていた2人は顔に火傷を負ったものの、付けていた耳栓とレインコートが音や衝撃から身を守り、大きなケガはなかった。

船の異変に、慌てて修理を試みようとしたというマークさん。しかしエンジンルームへ駆けつけてみると、船体に開いた穴からは海水が勢いよく入り始めており、ポンプで排水しようとしたものの、状況を把握した妻シンシアさんは、緊急用スーツを着込んで貴重品を集め始め、脱出に向けて準備を始めたそう。その一方でマークさんは、一緒に乗せていたオスのジャスパーとメスのトパーズという2匹の子猫のことが気になり、船の中を「死にもの狂いで」探し回った。ところが、爆発の衝撃で「怖がった」2匹はどこかに隠れて見つからず、妻からも「彼らの本能に任せよう」と促され彼は捜索を断念。すぐに沿岸警備隊へ緊急連絡を入れ、脱出の準備に入った。

陽は沈み、暗くなった太平洋上に脱出用ボートを浮かべ、間もなく脱出できた2人。やがて仲間の船が到着して助けられた夫婦は、近くで長く愛用してきた自分たちの船が急速に沈んでいくのを見守っていた。そのとき、夫婦が乗る仲間の船に向かって、海を泳いでくる何かの姿。そう、それはトパーズだったのだ。

トパーズの無事に安堵しながらも、今度はジャスパーの行方が気になった夫婦。すると、沈んで角度が上がったへさき部分で、徐々に近づく海を恐れるように立っているジャスパーを見つけた。近づけずに様子を見守っていると、ジャスパーは船が完全に沈む直前に目の前に迫った海へと勇気を出して飛び込み、必死に2人がいるほうへと泳ぎだしたという。

事故が起きて45分後、夫婦と2匹の愛猫が大きなケガもなく顔を合わせられ、「よかった」と胸をなで下ろしたマークさん。その後、彼らはオレゴン州南西部のクーズベイ港へ運ばれ、現在はラ・パインの自宅に戻って元気に過ごしているという。

今回は全員助かったものの、「私たちは常に事故が起きる可能性に注意し、準備しておく必要があった」と事故の反省を口にするマークさん。もう手に入らないような仕事道具も多く失ったそうだが、今まで通りに夏の仕事を続けたいと考える夫婦は、新たな船や道具を手に入れようと資金作りに奔走するなど、前向きに動き出しているという。

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