旅好き夫の遺灰が大海原行く、ボトル拾った人たちの協力で旅行継続。

2013/08/05 19:56 Written by Narinari.com編集部

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7月下旬、米フロリダ州のビーチでゴミ拾いを行っていたある女性は、砂のようなものが詰まったメモ入りボトルを見つけた。中を開けてメモを読むと、ボトルは昨年3月にある女性の手によって海に流されたもので、入っていたのは旅好きだった夫の遺灰だった。事情を知った女性は、連絡を望んでいた妻へ知らせた後、遺灰入りボトルを再度海へと放流。その後、放流直前に撮影した写真とともに経緯がFacebookで紹介され、大きな注目を集めている。

米紙USAトゥデーやニューヨーク・デイリーニュースによると、遺灰入りボトルを見つけたのは、フロリダ州キー・コロニー・ビーチにあるホテルの共同経営者の1人、ジュディ・グランツ・シドニーさん。7月22日、自身のホテルで休暇を取っていた彼女は、家に戻る前の数時間をビーチのゴミ拾いに費やしていた。そのとき見つけたのが、件の遺灰入りボトル。中にお札やメモが入っていることに気が付いた彼女は蓋が開かなかったため、ホテルに戻ってカットしてもらい、メモを取り出したそうだ。

中に入っていたのは、2枚の1ドル(約100円)札と2枚のメモ用紙。黄色い紙には、砂のようなものがボトルを流した女性の夫「ゴードン・スコット・“スキニー”・スミス」さんの遺灰で、電話代の1ドル札を使って「どこで拾ったか連絡して欲しい」と書かれていた。遺灰だと知って驚いたシドニーさんがもう1枚の白い紙のほうも読んでみると、それは今年7月上旬、キー・コロニー・ビーチから北東にある同じフロリダ・キーズ諸島のイスラモラダで、“ロス”という名の男性が拾った事実を残したメモだと判明。“ロス”さんは連絡をせずに再び海に流したようで、メモには彼が拾った事実も伝えておいて欲しい、そしてボトルがどこに着いたのか「私にも教えて」と頼む内容のメッセージが書かれていた。

事情を把握したシドニーさんは、手紙に書かれていた通りに電話をかけ、自分と“ロス”さんが拾った事実を報告。その結果、この遺灰入りボトルの主は、テネシー州ルイビルに住むベヴァリー・スミスさんだとわかった。

ベヴァリーさんは夫ゴードンさんの旅行好きもあって、1980年頃から夫婦は毎年2月に暖かい南のほうへ旅に出ていたという。ところが昨年3月、2人がコスタリカの旅行から戻ったわずか2時間後に、夫が脳内出血を起こして急死。火葬を終えた妻は、遺灰の一部を思い出深い場所だったテネシー州の湖とコスタリカで散骨すると、残りを海も好きだった彼を「航海させたい」とボトルに詰め、フロリダ・キーズ諸島沖で流したそうだ。

そうした経緯がわかり、シドニーさんもまた遺灰を海に送りだすことに。蓋をカットしたため使えなくなったボトルは「ラム酒の空き瓶」に代わり、遺灰と2枚のメモ、それに自分のメモも加えて入れると、事情を知ったビーチの人たちとゴードンさんのためにパーティーを行ったという。

そして2回続けて最初に流した場所から近い場所で見つかっているため、今度は遠くまで旅して欲しいと願ったシドニーさんは、近くの島々に着かないように障害物がない橋の上へ。遠距離からでも足りるように「もう1ドル加えた」遺灰入り瓶を流し、亡き彼の航海の成功を祈ったそうだ。

今回の出来事がシドニーさんの経営するホテルのFacebookで紹介されると、ボトルを持った彼女の写真に28万人以上が「いいね!」と反応し、2万1,000件以上のコメントが寄せられるなど大きな話題に。夫を親友と呼び、ずっと「失った辛さを抱え続けていた」というベヴァリーさんは、シドニーさんからの連絡と夫の遺灰入りボトルが大きな話題になったことが大きな励みになったようで、協力してくれた人たちに感謝の気持ちを表しているという。

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