立ち退き拒み“切れ端住宅”に、水や電気も停められ不便な生活続ける。

2013/07/23 18:46 Written by Narinari.com編集部

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急速な経済発展を背景に、中国では都市部を中心に再開発計画が積極的に押し進められているが、開発側と地元住民との間でトラブルが生じるケースも後を絶たない。先日は、ある集合住宅の居住者が立ち退きを拒み、開発側との“戦い”に発展。一部が削り取られてまるで“切れ端”のようになってしまった住宅で、水も電気も停められた不便な生活を強いられているという。

中国紙温州都市報などによると、この一件は浙江省温州市のある村の5階建て住宅でのこと。瑞安国道104号線近くに佇むこの建築物はすでに半分以上が削り取るように壊され、残されているのはわずか一部分のみで、現在は最後の一世帯が暮らしている。広い敷地内に鉄筋むき出しの建物がポツンと立ち尽くしている様は、傍から見ると明らかに異様な雰囲気だ。

居住者の鄭美菊さんは2000年、10数万元かけて264平米のこの家を購入。1階では商店を営み、2階から上の階は自宅と賃貸住宅に当てていた。しかし2010年、政府部門は同地の再開発計画を推進。周囲の住民に立ち退きを迫った。

こうして同地からは次々と住民たちが去っていったが、鄭さんは立ち退き条件に納得がいかない。というのも、現地戸籍ではなかった鄭さんは「(ほかの住民よりも)立ち退き条件が悪かった」そうで、開発側との間で何度も何度も交渉が行われたがまとまらず。政府としても再開発工事を止めるわけにはいかず、鄭さんを無視するように周囲で工事を進めていき、結果として鄭さんの所有部分だけが残された“陸の孤島”のようになってしまった。

鄭さんは「今年1月に水が停まり、2月からは電気も停められました」と話す。停水後、水は友人の家から20〜30分かけて運び込んでおり、また、暑さが厳しいこの時期は停電で冷房器具も使えないことから「昼間は友人の家で過ごし、夜、家に帰って眠ります」と、不便な生活を強いられているという。しかし、開発者側は「(水と電気を停めたのは)工事を進めていく上で、安全のためにそうせざるをえなかった」と説明。いまだ両者の溝は埋まっていない。

浙江省温嶺市では昨年11月、やはり老夫婦が立ち退きを拒否し、家の周囲に高速道路を施設されるという驚きの一件が報じられたが、もはや中国では、こうした例はそれほど珍しくなくなっている。立ち退きを拒むのはもちろん住民の権利であるが、すでに立ち退きを決めている住民からすれば、こうした住民は“やっかいな存在”となっている場合もあり(※立ち退きを決めた居住者に政府が用意する集合住宅の建設が遅れたりする)、なかなか判断が難しいところだ。

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