日本で覚えた“暇潰し”で成功、ドイツで手編み帽子店営む男性2人。

2013/07/10 17:10 Written by Narinari.com編集部

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4年前、共に28歳のドイツ人男性2人は、スキーインストラクターの仕事をするため日本を訪れた。ところが仕事以外に何もすることがなく、時間のつぶし方に困ったという2人。そんなときインストラクター仲間が帽子を編んで過ごしているのを見て、興味を持った彼らもニット帽を編み始めたという。それをきっかけに手編みの世界にハマった2人は、ドイツに帰国後、ニット帽作りを仕事にしようとオンラインショップを開業。すると彼らの帽子は広く評判を呼び、ドイツの若者の間でも高い人気を集めているそうだ。

独誌デア・シュピーゲルや独ニュースサイトのザ・ローカルによると、この2人はバイエルンでその名も「MyBoshi」というオンラインショップを運営している、トーマス・イェーニッシュさんとフェリックス・ローランドさん。同じ高校の同級生だった2人は、それぞれ就職した後も冬はスキーのインストラクターの仕事を一緒に行っていたという。そして4年前の冬、2人は日本のスキー場で仕事をするために来日した。

すると、日中は大好きなスキーを存分に滑れるものの、夜になるとこれといった遊びもできず、宿泊施設での過ごし方に困ったそう。そのとき、一緒に仕事をしていたスペイン人インストラクターが、帽子を編んで過ごしているのを見かけた。男性はあまりしないと聞いたものの、「本当に退屈だった」2人は自分たちも興味が湧き、手編みの帽子作りに挑戦。すると、すぐに夢中になってしまい、その後2週間にわたって電車で日本を旅行した間も「2人で競争するように」帽子を編み続け、東京を訪れた際には2人のオーストラリア人女性に声を掛けられ、編んだ帽子が10ユーロ(約1,300円)で売れたそうだ。

そんな体験も自信に繋がったのか、2009年3月に地元バイエルンへ戻った2人は帽子作りにすっかりハマった結果、手編み帽子店「MyBoshi」を設立。当初はそれぞれの実家を仕事場に、黙々と帽子を編み続ける日々だったが、2010年に店の窓口となるウェブサイトを開設して売り上げが大きく変化したという。

2人の店では、「市川」「三鷹」「岐阜」といった日本の地名で名付けられた基本のデザインパターンを用意。購入希望者が色やサイズなどを指定すると、彼らがその注文に応じて編みあげるという流れだ。彼らの店は、ウェブサイトを開くとすぐに、ドイツの若者を中心に豊富なデザインパターンが評判となって人気を呼び、現在では「最大40人体制」で注文をこなすまでに成長。また、2012年に帽子の編み方を教える“ハウツー本”を出して注目を集めたことも手伝って、昨年1年間で「65万ユーロ(約8,400万円)」を売り上げるまでになったという。

評判はドイツ国内に留まらず、英国やイタリア、スウェーデンなどの周辺諸国からも注文が舞い込んでいる2人の手編み帽子店。最近は問題行動を続けていた生徒が「編み物をさせたら静かになった」と、学校の先生から礼を言われる機会もあったそうで、盛り上がる彼らの人気のほどがうかがえる。

また、2人の店は購入する若者たちだけでなく、年金生活を送っていた女性従業員たちにも仕事をする“喜び”を与えているそうで、今後の成長ぶりにも期待したいところだ。

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