犬のフン“宅配”で放置7割減、スペインの街が始めた活動に注目集まる。

2013/06/10 06:09 Written by Narinari.com編集部

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散歩中に出た犬のフンは、飼い主がきちんと持ち帰って処理をするのが常識だが、スペインのある街は、減ることのないフン放置に頭を悩ませていた。対策を考えた街は、広告代理店に協力を依頼して市民に広く訴えるキャンペーンを展開。すると、一時的に改善傾向が見られたものの、時間が経つと再び問題は悪化してしまい、さらに強い意欲をみなぎらせた街は今年2月から放置されたフンを飼い主宅へ“配達”する活動を始め、今度は大きな改善に繋げたそうだ。

スペイン紙ザ・ローカルや英紙デイリー・テレグラフなどによると、フンを送り届ける活動が行われているのは、首都マドリードから30キロほど西に位置する、人口約1万人のブルネテという街。以前から放置された犬のフンが通りなどに目立ち、対策に頭を悩ませていた自治体当局は昨年、大手広告代理店マッキャンにキャンペーン実施に対する協力依頼を行った。マッキャン側は街の厳しい財政事情を理解し、「新鮮で刺激的な仕事」として街の依頼を無料で引き受けたそうだ。

そして昨年2月に初めて行われたのが、フンの形をした“ラジコン”を街中で走らせるというユニークなキャンペーン。特に犬を連れた市民に向けて「私を置いていかずに持って行って」と書かれた旗を立てて追い回すなど、笑いも誘う面白い活動は功を奏し、その後はフンの放置がかなり減ったという。ところが時間が経つと再び問題が悪化し、自治体側は「さらに直接的なアプローチをしなければならない」と新たな対策を考えた。

それが、今回欧米で大きな注目を集めている“フンの配達キャンペーン”。その仕組みは意外と地道で、まず街中を巡回する“秘密のボランティア”20人が犬のフンを放置した飼い主を見つけると、何気なく声を掛けて接触を試みる。会話の中から犬の名前や犬種などを聞き出すと、街が管理するデータベースから合致する情報を探して、飼い主の家を検索。住所が分かったら、持ち帰って箱に入れたフンを届けて飼い主に直接返す、という流れだ。

街の調査によれば、フンの配達件数は2月だけで147件に達し、街中の放置件数はキャンペーン実施前より70%も低下。一連のキャンペーンは、先頃開かれたスペイン・ポルトガル語圏の広告を対象にしたコンテストに、マッキャンが活動の様子を収めた動画を出品し、入賞したことがきっかけで評判になったという。

自治体関係者は、配達活動が市民に「受け入れられた」と話しているが、今度は犬が用を足せる「指定場所を作ってほしい」との要望も寄せられているといい、満足する解決へ至るには、まだクリアすべき課題が残されているようだ。

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