「愛娘に仕事を」街頭に立つ母、16年介護してくれた娘のため行動に。

2013/03/17 13:41 Written by Narinari.com編集部

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子どもが定職に就けず頭を悩ませているという親は、いまの世の中、少なくないかもしれない。米カリフォルニア州に住む61歳の女性も、そんな母親の1人だ。彼女は昨年6月から失業中という36歳の娘のことが気になって仕方がないという。なぜなら、大好きな娘が仕事を失ったのは、自分にも大きな原因があったから。なお懸命に仕事を探し続けている娘の姿に、何とか自分も力になりたいと考えた母は、最近、街角に立って広くアピールするようになったそうだ。

米紙プレス・エンタープライズや米放送局CBS系列KCAL-TVなどによると、この女性はカリフォルニア州南部の街マニフィーで暮らすリンダ・スミスさん。1996年、デパートで働いていた彼女は出勤途中、酔っぱらい運転の車に衝突される事故に遭った。特に目立ったけがもなかったため、そのまま職場へ向かおうとした彼女だったが、目に見えぬ大きなダメージを抱え込んでしまっていたという。

事故直後、職場へ急ぐ彼女はなぜか道が分からなくなり、人にたずねて何とか到着。さらにパソコンの操作方法が分からなくなるなど、当たり前にこなしていた行動がいろいろとできなくなり、病院で検査すると事故の影響による「軽度の認知症」に陥っていたことが分かった。当時韓国でモデルをしていた娘のリサさんは、母の話を聞いてすぐに帰国。靴の結び方や娘の誕生日まで忘れるなど、思った以上の悪い状態に驚いたリサさんはモデルの仕事を辞め、国の安い補助金とさまざまな仕事をこなしてこつこつと稼いだお金で、母と一緒に暮らす生活を始める。

そして、娘のサポートを受け続けること16年。大きく改善した母リンダさんの様子を見た医者は、独り暮らしをしてみてはどうかと持ちかけたそう。提案に乗ったリンダさんは、昨年6月に娘と別れて独り暮らしを始め、再び前向きな人生の一歩を踏み出した。ところが一方のリサさんは、長かった母のサポート生活を終えたは良いものの、いざ外に定職を求め始めてみると、36歳の女性にはなかなか仕事が見つからない。新たな一歩を踏み出すきっかけを得られず、娘には長く苦しい時間が訪れた。

パソコンの資格を取得して、履歴書を書いては応募し続けたリサさん。しかし結果は不採用の連続で、「3週間で31社落ちた」辛い経験もあったという。そんな状況でも奮闘し続ける娘の姿に、今度は自分が力になりたいと思い始めた母リンダさん。最初は、娘のために自分も企業へ連絡しようと考えたそうだが、認知症の影響で言葉を誤り「間違った情報を伝えるかもしれない」と断念。そこで「字に書いておけば、間違ったことを言わないはず」と、母は言いたいことを予め書いたメッセージボードを用意し、街角へ立つアイデアを思い付いたという。

こうしてマニフィーの大通り沿いに立ち始め、娘の仕事先を紹介してくれる人を探し始めたリンダさん。「娘の履歴書を受け取って」との見出しで、就職に繋がる協力をしてくれた人には「500ドル(約4万7,000円)進呈」と大きく書かれたボードを掲げ、足を止めた人には娘の履歴書を配っているという。ただ、お礼は「秘書や事務の職で、時給15ドル(約1,400円)以上」の仕事に就けた場合との条件付きだ。

当初は、母のアピール効果を大いに疑問視していたというリサさん。しかし、必死になって協力し続けてくれるうちに「黙認し始めた」そうで、娘の仕事が見つかるよう願う母のPR活動が、早く大きな実を結んでほしいところだ。

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