刺された女性が救急隊員と恋、事件きっかけも「彼と会えた」と前向き。

2013/03/12 18:16 Written by Narinari.com編集部

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昨年1月の深夜、当時20歳だった米国のメリッサ・ドームさんは、別れた元カレに家の近くまで押しかけられ、渋々話し合いに応じていた。執拗に自分を求め続ける態度を彼女が拒絶すると、逆上した元カレは取り出したナイフで彼女の上半身を何度も突き刺す暴挙に出たという。幸い、近くにいたカップルの助けもあって、ドームさんは瀕死の状態になりながらも辛うじて一命を取り留めた。しかし、そんな経験は“ひどい”だけでは終わらず、結果的には彼女に素晴らしい男性との出会いをもたらすきっかけになったという。

米紙タンパベイ・タイムスによると、ドームさんが恐ろしい事件の被害者となったのは昨年1月24日未明のこと。高校時代に出会い、2年間交際していた元カレから「家の近くにいるから」と携帯電話にメールが届き、会って欲しいと迫られた。通っていた看護師学校の授業が朝早いこともあり、当初は来ないように返事を送っていた彼女も、やり取りを重ねるうちに家の目の前まで来られてしまい、結局外に出て顔を合わせてしまった。

「君がいなくて寂しい」と泣きながら弱々しく話し出した元カレは、彼女に「ハグして欲しい」と懇願。しかし、彼の暴力が原因で別れた彼女にとってはもはや受け入れられず、その願いを拒絶した。すると元カレは、持っていたナイフを取り出して彼女に襲いかかり、彼女の頭や首、腕など上半身を何度も刺し始めたという。警戒して手に持っていた痴漢撃退用スプレーも活用できず、彼女は遠のく意識の中で必死に助けの声を上げたところ、近くの公園にいた10代後半のカップルが気付いて仲裁に入った。結果、彼らのおかげで攻撃は止み、その後、元カレが立ち去ると、カップルが通報して駆け付けた救急隊に助けられたという。

現場に駆け付けた隊員の1人、38歳のキャメロン・ヒルさんはそのときの彼女を見て、「自分が働いて来た17年間で最もひどい」状態の被害者だと感じた。32もの刺し傷を負い、辛うじて呼吸を続ける彼女は意識不明の状態だったが、なぜか「彼女は生き抜くと思っていた」と話すヒルさん。その後、ヘリコプターでの搬送が決まり、彼は生存を信じながら空へと消えた彼女を見送ったそうだ。

病院へ運ばれた彼女は4度心臓が止まる危機に陥りながらも奇跡的に回復し、3週間後には退院。脳や顔の神経など大きなダメージも負ったが、厳しいリハビリを重ねながら、退院から1週間後には学校にも通い出し、昨年5月には友人と欧州へ旅行にも出かけられるまで体調が戻った。さらに自身の経験から、ドメスティックバイオレンスに対する講演活動を始めたドームさんは、昨年10月に会場の教会へ出向いた際、思わぬ再会を果たしたそう。目の前に、事件のときに駆け付けた救急隊員の2人がいたと知り、感激した彼女は電話番号を交換して消防署でバーベキューをしようと約束した。

そして迎えた、消防署でのバーベキューの日。ヒルさんと会話を重ねるうちに恋愛感情が芽生えたというドームさんは、また会う希望を込めて彼にカードを渡した。一方の彼もまた、5時間も彼女との時間を過ごしたことで“抑えきれない感情”が湧き出したといい、2人の恋愛がスタート。以後、彼女が消防署へ顔を出し、いまは毎日2人で過ごす時間を作るほど親密な関係を築いているそうだ。

学校の卒業式では、事件にも負けずに優秀学生として表彰されるほど頑張った彼女を見て、「とても強い」と尊敬した様子のヒルさん。一方のドームさんも「彼は私が待っていた人」と話し、恐ろしい事件についても「彼と会えたから、全部が悪い出来事だったとは思えなくなった」と前向きに振り返るほど、彼と出会って本当に幸せを感じているようだ。

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