“道を譲れば表彰”に賛否両論、中国の横断歩道で事故多発受け。

2013/02/11 12:23 Written by Narinari.com編集部

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自動車事故による死亡者数が世界最多の中国では、新しい交通規定を設けるなどして常に対策が求められているが、最近導入された交通マナーの改善に向けた“奨励プログラム”には、賛否両論が巻き起こっているようだ。

中国では1月1日より、改訂版「機動車駕駛証申領和使用規定」(公安部第123号令)が施行された。この新交通規定では、減点項目が大きく増加しており、黄信号で止まらないと6点減など“中国史上最も厳しい交通規則”としてドライバーたちを震えさせている。しかし注目を集めている“奨励プログラム”はそれとは逆に、ドライバーにとって“飴”となるものだ。

中国紙広州日報などによると、この“奨励プログラム”を導入したのは広東省佛山市順徳区の容桂交通警察。ざっくりと言うと、横断歩道を渡ろうとしている通行人がいた場合、ドライバーが道を譲れば表彰するというもので、表彰状と無料洗車券が贈呈される。また、年3回以上表彰された特に優秀なドライバーは無料で車検を受けられるなど、さらに豪華な特典も与えられるという。優秀なドライバーは横断歩道などに備え付けられた監視カメラ映像をもとに、毎月10人ほど選出されるそうだ。

もともと同地区には、信号機が設置されていない横断歩道が数多く存在しており、交通事故が多発してきた。平均すると毎日2件の交通事故が起きており、時に死亡者が出ることも。容桂交通警察がある地点を調べたところ、10分間に通行人に道を譲ったドライバーはわずか5人しかおらず、「現状を改善しなければすぐにまた事故が起こる」との懸念があり、今回の“奨励プログラム”を始めることにしたそうだ。

とは言え、この“奨励プログラム”に対する市民の評価は真っ二つ。賛成派は「特定の優秀なドライバーを表彰することで模範が生まれ、徐々に交通マナーが改善されていく」と期待しているが、反対派は「現時点でも罰則があるのに機能していないことを考えると、奨励も効果を生み出せるとは思えない」、さらには選考基準も曖昧と懐疑的だ。

また、自分が道を譲ったとしても、後続車からクラクションを鳴らされたり、追い抜こうとしてかえって事故が発生しやすくなるといった意見もある。中にはドライバーの交通マナー云々以前に、赤信号でも平気で横断しようとする歩行者の交通マナーに厳しい罰則を設けるべき、といった声も上がった。

いずれにせよ、今回の“奨励プログラム”は中国全土で適用されるわけではないため、しばらくは様子を見守るしかないが、仮にこのプログラムが長い目で見て交通事故件数を大幅に減らすなどの成果を生み出せれば、こうした運動が中国全土に拡大する可能性はあるのかもしれない。

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