盲目の犬が吹雪の中から生還、10日ぶり帰宅に飼い主は「奇跡」と感謝。

2013/01/04 14:13 Written by Narinari.com編集部

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この時期、日が落ちると氷点下40度にまで落ち込むこともあるアラスカ内陸部の街フェアバンクス。先日、そんな極寒の地で家を離れ、行方不明になった飼い犬がいた。問題だったのは、厳しい寒さに加え、犬は目が見えないということ。ただでさえ過酷な外の世界へ、周囲も確かめられない状況で彷徨っているとあっては、さすがの飼い主家族も「生きて帰って来られるとは思えない」と諦めの境地だったそうだが、10日後にまさかの一報が届き、喜びの結末を迎えたという。

米紙フェアバンクス・デイリーニュースマイナーによると、“奇跡の生還”を果たしたのは、フェアバンクスに住むマッケンジー・グレイペンジェターさん宅で飼っている8歳でメスの犬、アビー。数年前、家具にぶつかったことが原因で視力を失いながらも、10歳から6歳まで3人の子どもに囲まれ楽しい生活を送っていたアビーは、毎日昼間は5エーカー(約2万平方メートル)という広大な庭で遊ぶのが日課だった。ところが12月13日、家族が目を離した隙にアビーの所在が分からなくなってしまう。

ただでさえ寒い季節、ましてや目が見えないアビーにとって外の世界は危険と、家族は一生懸命近所を探し回った。しかし、アビーの姿は一向に見つからず。夜には氷点下40度にまで落ち込むフェアバンクスでは、最近ひどい吹雪も続いていたため、もはや「生きて無事に帰って来るとは思えなかった」というグレイペンジェターさん。しかし彼女が持っていた運と生命力が、その悪い予想を覆す結果となった。

それから6日経った12月19日の午後、グレイペンジェターさん宅から20キロ近く離れた通りを犬ぞりで走っていた獣医のマーク・メイさんは、雪穴で休んでいたアビーを目撃する。「20センチくらいの穴」に入っていたというアビーは、彼をそりの犬たちの存在に気付いたのか、彼らを1キロ以上追いかけて来たそうだ。しかし、そりを引っ張る犬たちで手一杯だった彼は、アビーを拾い上げることができなかったという。やがて、遅れを取って離れていったアビーに、彼は「誰かの家を見つけろよ」と声を掛け、その場で別れた。

しかし翌日、彼が犬小屋に出向くと、飼い犬たちに紛れるように端に座るアビーの姿を発見。また、当初は臆病に縮こまっているのかと思ったその犬が、実は盲目だったと気付いた。家まで10キロ以上あった冬の道で「匂いを追って」辿り着いたのかと考えた彼は、そこでアビーの保護を決断。アビーはこのとき、お腹は空かせていたものの、寒い中で過ごしていたはずなのに全く凍傷を負っていなかったそうだ。そしてメイさんは、飼い主探しに着手する。

アビーの体にはマイクロチップがないと分かると、近所の人にも協力を仰いでメールやFacebookなどでアビーに関する情報を収集。すると、情報に気付いた近所の人が12月23日にグレイペンジェターさんに話を教え、アビーは10日ぶりに我が家へ帰る運びとなった。諦めていた家族が「奇跡」と喜ぶ愛犬の生還に、グレイペンジェターさんは助けてくれた人たちから「1番素晴らしいクリスマスプレゼントをもらった」と、大きな感謝の気持ちを語っている。

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