捨てチワワを需要ある隣国へ、1年間で約1,900頭の犬を殺処分から救う。

2013/01/03 14:03 Written by Narinari.com編集部

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米国では一時期、映画や多くの有名人がペットにした影響もあり、チワワが大人気となった。しかしブームが去ると、面倒を見られずに捨てる飼い主が相次ぎ、動物保護施設に多くのチワワが収容される社会問題が発生。特にハリウッドに近い、カリフォルニア周辺では未だ悲しい状況が続いている傾向にあるという。そんな犬たちを助けようと、今頑張って活動しているのが米国で20年間生活をしている、動物好きな48歳の英国人男性。彼は犬に対するカナダの状況を知り、2年前から米国で保護されたチワワなどの犬をカナダに運ぶ活動を行っているそうだ。

英紙デイリー・メールなどによると、この男性はカリフォルニア州ノルコに住む英国人男性、ジョン・マレーさん。リバプールから20年前に米国へやって来た彼は、場所柄有名人も多いカリフォルニア州でリムジンドライバーの仕事に就き、ノルコにある牧場付きの家で「8頭の犬や馬」に囲まれた生活を送っていた。そんな彼に、人生の転機が訪れたのは3年前。もともと動物好きだった彼は、「慈善活動に集中したい」とドライバーの仕事を退職。その後「Ej Rescue」という団体を立ち上げ、困難な状況にある動物たちを助ける活動を始めた。

そして2年前、彼は身近で起こっている大きな問題に気が付いた。それは「動物を養う余裕がないか、余裕を持てない多くの無責任な飼い主」によって、カリフォルニア州の保護施設では今も多くの犬が収容されていること。引き取り手が見つからなければ殺処分されるケースもあるだけに、「彼らはファッションアクセサリーではない」と憤ったマレーさん。ところが協力しているボランティア団体の話から、カナダではチワワのような小型犬が「ウェイティングリストが作られる」ほど多くの需要があると知り、マレーさんは閃いた。

米国で引き取り手の見つからない犬たちをカナダに運び、幸せに暮らしてもらおうと決めた彼は、前職を活かして自分の車で輸送する活動を開始。ただし、国をまたいで動物の輸送を行うのはそう簡単な話ではない。米国とカナダの施設や団体と連絡を取り、引き取り手が決まった犬たちを選ぶと、彼は犬の種類や健康状態を証明する書類の準備や、国境警備隊に提出する書類作成に追われるそうだ。また一度に「最高35頭」乗せ、ロサンゼルスからカナダ・カルガリーまで、約2,400キロの距離を24時間かけて一気に移動するため、自分にとっても犬にとっても「ハードな1日」になるという。

ただし、移動中は犬の健康状態に細心の注意を払うというマレーさん。犬たちにとって移動の1日は厳しくとも、その後は「幸せな生活が待っているはず」と信じ、彼はできるだけ早く到着するように心掛けて運んでいる。彼の輸送活動は「7日から10日ごと」に行われ、この1年間だけで約1,900頭もの犬をカナダに運んだ(※その約半数がチワワ)。「カルガリーでは犬好きな人が多く、たくさんの家族がカリフォルニアから救い出されるチワワを待っている」と話すのは、カナダの保護施設関係者。さらに彼が運んで来る犬たちが「素晴らしい性格」ばかりで、引き取り手からの不満はなく、「素晴らしいサクセスストーリーばかり」寄せられるという。

活動が大きな実を結び、今は充実した時を過ごしているように見えるマレーさんだが、目下の課題は資金面。輸送活動を「仕事ではない」と言い切る彼にとって、寄付だけが唯一の収入源だからだ。そのお金で輸送費用や餌代、さらに彼の生活費などに充てられるため、牧場付きの家が「差し押さえられている」というほど経済状況がひっ迫している様子。幸いにして新たな所有者も「動物好き」だったため、彼の活動を理解して「銀行が動くまで住んでいて良い」と許可をもらい、今は新たな家も見つけたようだが、今後も活動が続けられるよう、多くの協力者が現れるのを願いたいところだ。

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