妻他界から半日後に夫も永眠、65年連れ添った旅好き夫婦の“旅立ち”。

2012/12/19 16:22 Written by Narinari.com編集部

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最愛の人より先にこの世を去るとしても、逆に見送る立場になるとしても、相手を想うとどちらも辛いもの。それならば、同じタイミングで寿命を迎えられたら最高の形――そう考える人も少なくないかもしれない。米ペンシルバニア州では先日、65年間の結婚生活を送った90歳代の夫婦が、12時間の違いで相次いで息を引き取った。

米紙トリビューン・デモクラットやニューヨーク・デイリーニュースによると、この夫婦はペンシルバニア州メイヤーズデールで暮らしていたロバート・ワーナーさんとラバーンさん夫妻。1921年生まれの夫と1920年生まれの妻は、今から65年前、第二次世界大戦後に結婚した。共にメイヤーズデールで生まれ育ち、共通の趣味である旅行をよく楽しんでいた2人は、アラスカ以外のすべての州に出かけたという。

そんな2人なら日頃から仲良しだったかと思いきや、息子の目から見れば「いつも互いの意見が一致しなかった」というから面白い。しかしどちらかが物事を決めれば、どちらかが必ず「すぐに後に付いていった」そうで、結局は相手の意見を尊重して「何事も一緒にする」関係だったという。そうして2人も年を重ね、90代となった夫はアルツハイマー病を発症。主婦としてずっと彼に寄り添って来た妻は、最近でも夫を最優先に考え、献身的に支えていたそうだ。

ところが4か月前、夫を気にかけていた妻のほうも体調を崩し、2人は療養施設の同じ部屋で時間を過ごすことに。ただ、その時点で息子には「母は疲れていて、人生を終える準備ができていた」ように見えていたという。

そして12月11日、妻は脳卒中を起こしてしまい、夫より先に人生の幕を下ろした。すると、意識が衰弱しているはずの夫が「何かに悩まされているような反応」を見せ始め、「父は母が亡くなったのを分かっていたと思う」と息子は振り返る。

それから12時間後、まるで妻の後を追うように夫も永眠。わずか半日の間で両親を失った息子は、「父は、母が『もう大丈夫よ』と言ったのを聞いたんじゃないか」と考えているそう。また、常に夫のことを考えていた妻は、自分の最期を迎える時に「夫を遺したくない」という希望を持っていたため、息子としては先に旅立った母のほうがこの世に残った父を呼び寄せ、仲良く天国に向かったのではと思っているようだ。

家族にとってはとても悲しい日であったには違いないが、こうなることを「両親ともに望んでいた」と知っていたのがわずかばかりの救い。旅行が好きだった2人は、人生の最期も一緒に旅立ち、今は天国で喜んでいるかもしれない。

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