喫煙率は男性横ばい&女性微増、“増税で抑制”厚労省の狙い外れる?

2012/12/12 18:51 Written by

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厚生労働省が12月6日に発表した平成23年(2011年)の「国民健康・栄養調査」の結果概要では、習慣的な喫煙者の割合は全体で20.1%と、前年(19.5%)と比べて横ばいであることが示された。男女別では男性が横ばいだったのに対し、女性はわずかに増加していた。たばこの価格はたばこ税増税に伴い、2010年10月から値上げされている。厚労省は増税に際し、「国民の健康の観点からたばこの消費を抑制する」との目的を掲げていたが、現時点ではその目標は達成できていないようだ。

◎増税で「減煙」が「禁煙」を大きく上回る結果

今回の調査で示された習慣的喫煙者の割合は、全体で20.1%と前年から横ばいの状態。平成15年(2003年)の27.7%からは下がったが、2010年の値上げでたばこ消費抑制を目指していた厚労省のもくろみは外れたことになる。男性は前年の32.2%から今回の32.4%と横ばい、女性は8.4%から9.7%の微増だった。

また、習慣的喫煙者のうち、「禁煙したい」と思う人の割合は男性32.8%、女性42.8%で、それぞれ前年の35.9%、43.6%をわずかに下回った。2010年以前には禁煙したい人の割合が増加傾向にあったが、歯止めが掛かっていると言える。

さらに、2010年のたばこ値上げの影響を受けた人の割合は全体で29.2%、具体的な影響のうち「ずっと吸っているが、本数を減らした」が39.0%とトップで、「吸うのをやめた」との回答は15.0%にとどまった。一方、「一時的に本数を減らしたが元に戻った」「一時的に吸うのをやめたが、また吸い始めた」は合わせて32%を占めていた。

◎2人に1人が「次の増税で禁煙」との調査結果も

国立がん研究センター(東京都)が2011年9月に行ったたばこ税引き上げから1年時点の調査によると、喫煙者234人のうち、2010年の増税で禁煙しようと考えた人の割合は29.1%だったが、「次の増税で禁煙しようと考えている」人の割合は45.3%を占めた。ただし、「増税で禁煙しようと考えたことはない(今後もない)」と答えた人も35.5%に上ったという。

厚労省は2011年、「国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、たばこ税及び地方たばこ税の税率を引き上げる」との意向を示している。この中ではさらに2012年までの「健康日本21」(21世紀における国民健康づくり運動)で、「未成年者の喫煙をなくす、受動喫煙の防止等の他に『喫煙をやめたい人がやめる』」という目標を掲げている。

喫煙による超過医療費や経済的損失額は年間合計4兆3,264億円に上るほか、喫煙による年間の超過死亡者数は13万1,000人、受動喫煙による年間死亡者数は約6,800人との試算もある。一方、国はたばこ税として年間2兆1,871億円の税収を得ている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/12/10/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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