“エア遊具”でのけがにご注意、米国では46分に1人の割合で発生。

2012/12/05 10:53 Written by

このエントリーをはてなブックマークに追加


イベント会場や遊戯施設に、空気で膨らませた大きな城や滑り台、動物の遊具が置かれることが日本でも増えている。こうしたエア遊具は「ふわふわ」「バウンスハウス」などとも呼ばれ、中で飛んだり跳ねたり転がり回ったりして遊べるため、子供たちに大人気だ。とがった部分や硬い部分がほぼないことから、けがをするリスクが低いイメージがあるエア遊具だが、普及とともに事故も増えているようだ。米ネーションワイド小児病院(旧コロンバス小児病院)のMeghan C. Thompson氏らは、全米におけるエア遊具に関連した外傷が1995年から2010年で15倍に増加したと、11月26日発行の米医学誌「Pediatrics」(電子版)に報告した。全米規模での解析は今回が初めて。Thompson氏らは、2010年には46分に1件の割合でエア遊具による子供のけがが発生したとの推計も示している。

◎骨折、打ち身、捻挫が多い

Thompson氏らは全米の外傷調査システムを利用し、1990〜2010年にエア遊具による外傷で救急外来を受診した17歳未満の小児患者のデータを分析。対象期間中、約6万4,657人が受診し、エア遊具によるけがは1995年(10万人当たり年間1.01人)から2010年(同15.2人)で15倍に増加していた。

さらに、2010年には2008年に比べ年間発生件数が2倍以上と、増加の勢いが加速していることも分かった。2010年の発生件数を換算すると1日当たり31人の子供がエア遊具によるけがで救急外来を受診、全米で46分に1人の割合で発生しているとの推測も示されている。

患者の54.6%は男児で、年齢中央値は7.50歳。けがの内訳は骨折(27.5%)、打ち身または捻挫(27.3%)が多かった。部位は脚(32.9%)と腕(29.7%)に集中しており、外傷が起きた場所はスポーツ・レクリエーション施設が43.7%と最も多く、次いで家庭(37.5%)。全体の3.4%が入院または24時間以内の経過観察の処置が行われていた。

以上の結果から、Thompson氏らは「子供のエア遊具による外傷の数と割合は、近年急増している」と結論。また、エア遊具によるけがの増加はトランポリンとの共通性が見られることから、エア遊具を安全に使うためのガイドライン(指針)策定やけがを防ぐためのデザイン変更などの取り組みが必要と提言した。米国小児科学会は、今年9月末に子供のトランポリン使用に関するガイドラインを公表している。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/12/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.