12年費やしたスピルバーグ新作、「リンカーン」プレミアに豪華な面々。

2012/11/10 06:00 Written by Narinari.com編集部

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スティーブン・スピルバーグ監督の最新作「リンカーン」のプレミアが11月8日(日本時間9日)、米ロサンゼルスのマンズ・チャイニーズ・シアターで行われ、レッドカーペットにはスピルバーグ監督以下、2度のオスカー主演男優賞を獲得したリンカーン役のダニエル・デイ=ルイス、同じく2度のオスカー主演女優賞を獲得し、同作ではリンカーンの妻役を演じたサリー・フィールドなど、豪華な面々が集結した。

「リンカーン」は構想・製作期間に12年を費やし、スピルバーグ監督が自らの手で“本当に撮りたかった”という感動巨編。米国の歴史の中で最も敬愛された大統領であり、凶弾に倒れて150年が経とうとしている現在でも、世界中の人から偉人として尊敬を集めているエイブラハム・リンカーンの半生を描く。

貧しい家に産まれ、殆ど学校にも通えないという少年時代を送りながら、努力と独学で身を立て、ついに第16代合衆国大統領となったリンカーン。権力の座に安住するのではなく、奴隷解放運動を推進する一方で、その運動が引き起こした南北戦争で国が割れるという未曾有の危機に立ち向かったこの立志伝中の人物は、世界中で政治不信が叫ばれ、自らの利益のみに汲々とする現代者社会で“今もっとも求められているリーダー”の象徴というべき人物だろう。

先日の米大統領選で再選を果たしたバラク・オバマ大統領は「リンカーンは自分のヒーローだ」と公言しており、まさに“オバマ大統領の原点はリンカーン”と言っても過言ではない。同作についてスピルバーグ監督は「リンカーンの映画をずっと撮りたかった。彼は自分の理想を貫き実現するアメリカの父とも言える指導者だ。偉大な指導者が求められる今だからこそ知ってもらいたい物語だ」と語っており、いかに全身全霊を費やした念願の企画だったのかがうかがえる。

そんな同作のプレミアは、大統領選の直後という絶好のタイミングも相まって、全世界のマスコミがハリウッド地区のマンズ・チャイニーズ・シアター前に集結。総勢300人以上の報道陣が劇場前のウォーク・オブ・フェーム上に特別に設置されたレッド・カーペットを取り囲んだ。

そして現地時間18時からのレッド・カーペット・セレモニーが始まると、スピルバーグ監督をはじめとする主要スタッフ、ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、トミー・リー・ジョーンズら主要キャストが続々と到着。約100メートルのジグザグ状のレッド・カーペットに、オスカー・ウィナーたちが次々に現れるその様子は、アカデミーの授賞式さながらの豪華さで、観客のため息を誘った。

以下、出席者のコメントは次の通り。

◎ダニエル・デイ=ルイス(エイブラハム・リンカーン役)
すごく不思議な気分だよ。今日この瞬間にこの映画はみんなのものになり、そして、僕たちはある意味、傍観者になる。これまではこの作品は僕らのだけのもので、これは僕らの大きな秘密を共有しているみたいだった。もちろんこれをみんなに引き渡すことは重要なことさ。そのために作ったんだから。でも、なんだかちょっと寂しい気もする。

それは今も続いている。最近の選挙でも、何年か後にはみんなこれは起こるべきして起こった運命的な出来事だと言うだろうけど、その時代に立ち会っていれば、結果はどっちに転ぶかわからないと思うだろう。奴隷廃止法案もそうだったんだ、当時は成立するかどうかは紙一重だったんだ。

◎スティーブン・スピルバーグ(監督/製作)
この映画は、リンカーンの時代と現代を対比させて描くのではなく、今の政治の世界や今の政府を“鏡をかざして見る”タイプの作品で、いかにして民主主義が機能するかについての映画です。民主主義にはドラマがあることをこの映画は証明しています。第16代大統領は、歴代の大統領の中でも、間違いなく最も重要なことを成し遂げました。奴隷制度によって引き裂かれた国を一つにしたのです。しかも、75万人のアメリカ人の命を奪った南北戦争の終結前に奴隷制廃止が宣言されたのです。今の世界は複雑です。しかし、リンカーンがもし存在していなかったら、世界はもっと混沌としていたでしょう。

◎ジョン・ウィリアムズ(音楽)
この映画は素晴らしい作品です。この作品について多くのリサーチを手掛けたスタッフによって、子供の時にリンカーンについて学んだアメリカ人たちは、リンカーン大統領について再び学ぶことになるでしょう。原作による素晴らしい文章、トニー・クシュナーによる脚本、そしてリンカーン自身の言葉によって。リンカーンは19世紀のまさに偉大なライターでもあります。歴史について学べるだけでなく、エンターテイメントとしても十分に楽しめるはずです。


「リンカーン」(配給:20世紀フォックス映画)は2013年4月19日(金)TOHO シネマズ日劇ほかで全国公開。

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