“親孝行費”を出す企業が話題、3か月に1度のペースで両親に送金。

2012/10/21 08:38 Written by Narinari.com編集部

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急速な経済発展を続けているとは言え、貧富の差が拡大している中国では、いまだに貧しい生活を強いられている家庭は多い。そのため、出稼ぎ労働者が安い給料を切り詰め、両親に仕送りしているケースは珍しくないが、このたび、そんな社会事情を考慮したある企業が、毎月社員の両親に一定金額のお金を支払う試みを始め話題を呼んでいる。そのお金は“孝敬奨”(親孝行費)として、社員ではなく、直接両親に送金されるそうだ。

中国紙華西都市報などによると、この一風変わった試みを始めたのは四川省成都市にあるコンサルティング関連会社。同社では今年6月からこの制度を導入し、“孝敬奨”は3か月ごとに支払われる。基本、全社員に支給されるが、社内規定を破るなどした一部社員には支給されない。支給額は毎月1,000元(約12,500円)で、社員の両親がすでに他界している場合には、配偶者の両親に支払うなど、不平等にならない制度にしている。

同社がこの制度を導入した理由は2つある。1つはその名の通り、社員に「親孝行してもらいたい」と願ってのもの。社員が給料から捻出している仕送りを軽減させられるだけでなく、仕送りをしていない社員には、両親に直接送金することで余計な無駄遣いをさせないよう戒める目的もある。同社董事長は「最近の若者は“月光族”(給料を貯金せずに使い果たしてしまう人たち)が多く、中には、お金が足りなくなってご両親にせびる人もいる。社員にはご両親のことをよく考えてもらいたい」と話し、親孝行の大切さを訴えた。

もう1つの理由は、このような制度を導入すれば、社員の努力を促すことができるという狙い。というのも、同社は“孝敬奨”を両親に送金する際、一緒に“成績表”も送付。支給の有無に関係なく、社員の働きぶりについて両親に通知し、仮に支給しない場合は「なぜあなたのご子息に支給できないか」をそこに明記するのだという。つまり、学校の通信簿のようなもので、“孝敬奨”は社員にとって嬉しい反面、ある意味“恐ろしい存在”でもあるわけだ。

とは言え、同制度は今のところ社員からは好評とのこと。ネットユーザーの間でも「うちの会社にもあればいいのに」「1,000元もあれば、親に仕送りしなくて済む」などと、概ね良い印象を持たれているようだ。中には「この1,000元だって、社員の給料を低く抑えるための単なる口実なんじゃないか」といった穿った見方もあるが、生活が豊かになるにつれて忘れつつある“親孝行”というものを、再考するきっかけになっているのは確かなようだ。

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