ビタミンDで風邪予防できず? かかった回数や期間も統計学的な差なし。

2012/10/11 20:45 Written by

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ビタミンDが欠乏すると上気道感染症、いわゆる風邪にかかることが指摘されている。しかし、ニュージーランド・オタゴ大学病理学のDavid R. Murdoch氏らは、18歳以上の健康な人を対象にビタミンDのサプリメント(栄養補助食品)を服用させたところ、プラセボ(偽薬)を服用した人たちとの差が認められず、風邪の予防効果は証明できなかったと、米医学誌「JAMA」(2012; 308: 1333-1339)に報告した。

◎日本の推奨量の20〜30倍を服用

Murdoch氏らは、健康な男女322人をビタミンDを服用する群(161人、平均年齢47.0歳、女性75%)とプラセボを服用する群(161人、同48.0歳、75%)に分け、夏季に服用を開始。18カ月間観察した。

ビタミンD群は、経口ビタミンDサプリメントを研究開始時に20万IU(国際単位、約5,000マイクログラム)渡し、1カ月後にも同量を渡した後、毎月10万IUを処方。観察期間中、服用との関連が考えられる副作用は認められなかった。なお、日本での1日当たり推奨量は200IU(5マイクログラム)、妊婦と授乳婦で300IU(7.5マイクログラム)で、1カ月当たりではそれぞれ6,000IU、9,000IUとなる。

研究開始時の血清1ミリリットル中の平均ビタミンD濃度は、ビタミンD群で29.0ナノグラム、プラセボ群で28.0ナノグラムだった。

◎かかった回数や期間、重症化も防げず

風邪にかかった回数は、ビタミンD群で593回(1人平均3.7回)、プラセボ群は611回(同3.8回)であり、両群間に統計学的な差は認められなかった。また、風邪のかかっている期間は両群ともに12日間で、重症化したのはそれぞれ累計171人と183人と、いずれも差はなし。さらに、風邪にかかったことによる欠勤の平均日数も両群とも0.76日で、こちらも差が認められなかった。

今回の研究では、風邪が流行する時期に備え、夏季に試験を開始し、開始後2カ月間を除き、毎月ビタミンDサプリメントは標準量に近い10万IUを投与したが、年間を通して風邪を予防することはできなかった。

しかしMurdoch氏らは、研究開始時に血清ビタミンD濃度が低い人がビタミンDサプリメントを服用することによって改善されていた点に着目(29ナノグラム→48ナノグラム)。ビタミンDの欠乏が顕著な人を対象とした場合、予防効果が認められるのではないかとしている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/10/11/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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