“リーダー”はストレス度低い、部下の数や職務権限多いほど緩和か。

2012/10/03 14:09 Written by

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一般に人の上に立つことは大変、ストレスフルだと考えられている。ところが、米ハーバード大学ケネディー行政大学院のGary D. Sherman氏らは、リーダーはリーダーでない人と比べてストレスのレベルが低いという研究結果を、9月24日付の米科学誌「Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America」(電子版)に発表した。さらに、部下の数や職務上の権限などが多いリーダーほどストレスレベルが低かったという。


◎「部下を管理する感覚」が重要

Sherman氏らは、米ボストンの主要都市部とハーバード大学の高等教育プログラムから参加者を登録。他者を管理する地位にあると答えた場合をリーダー、そうではない場合をリーダーでない人とし、ストレスの度合いを表す唾液のコルチゾル値を調べると共に、19項目から成る測定尺度(STAI)を使った不安度の評価を行った。

同氏らはまず、リーダー148人(政府官僚や軍の将校を含む)とリーダーでない65人を比較したところ、リーダーはリーダーでない人と比べてコルチゾル値が低く、不安度が低下していた。これは年齢や性別、教育、収入などで調整しても変わらなかった。コルチゾル値と不安度の関連は認められなかったため、ともにリーダーシップと直接関連していると考えられたという。

さらに、リーダー75人について、リーダーシップのレベル(部門内の部下の総数、直属の部下の数、職務上の権限)とストレスの関係を調べた結果、リーダーシップのレベルが高いほどコルチゾル値も不安度も低下。中でも「部下を管理している感覚」はリーダーシップのレベルが上昇すると増大し、この感覚が増大するとコルチゾル値と不安が低下した。

なお、「部下を管理している感覚」を除いても、リーダーシップのレベルとコルチゾル値の関連はなくならなかったが、不安度との関連はなくなったという。


◎リーダーには特別な心理学的資質?

部門内の部下の総数と職務上の権限は、ストレス指標の低下と部下を管理してる感覚の増大と関連していたが、直属の部下の数との関連は認められなかった。

Sherman氏らは「どれだけの多くの人間を直接管理しているかではなく、部下の総数が多い地位に就くリーダーや、その部下に対して相当の権限を持つと感じているリーダーで、ストレスが緩和される傾向にあった。リーダーは、部下を管理している感覚のような、ある特別な心理学的資質を持っていて、それによってストレスを緩和できるのかもしれない」と分析している。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/10/03/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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