感情表現避ける少年癒やす猫、家族にも言えなかった「大好き」とも。

2012/09/23 13:19 Written by Narinari.com編集部

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家族とは会話でコミュニケーションがとれるのに、学校や公共の場では、他人と言葉を交わすこともが出来ない。感情をうまく表現することができない。そんな心の病を抱える英国の少年が、献身的な飼い猫の力によって変わりつつあります。

英紙デイリー・メールなどによると、ローカン・ディロンくん(7歳)は、物心がついた頃から、家族(両親と兄)以外の人に話しかけられると微笑んだりはするものの、会話でのコミュニケーションを一切取らない少年でした。さらに家族に対しても、抱きついたり、「大好きだよ」と言葉にするといった感情的な表現を避ける傾向があり、次第に両親は恥ずかしがり屋にしては度がすぎると感じ始めたのです。そして検査を受け、数年前に場面緘黙(かんもく)症との診断を受けました。

場面緘黙症とは、家庭では会話が出来るのに、学校などの特定の環境ではまったく話すことが出来ないという、幼年期に発症することの多い症状。単なる人見知り、恥ずかしがり屋とは違い、何年経っても改善することがなく長期にわたって同じように会話が出来ないこともありますが、知能や学習面には何も問題がないという特徴もあります。

ローカンくんも、場面緘黙症と判ってからは、学校でもセラピストが付くなどして症状の回復に努めていますが、やはり友だちも出来ず、孤独な日々を過ごしていたそうです。そこで母親のジェインさんは「リラックスして話しかける相手がいたら、彼のためになるのではないか」と家でペットを飼うことに決め、ブリーダーからバーマン種の仔猫を譲り受けました。ローカンくんは、その仔猫を見た途端、一目で気に入ったようで、抱き上げてぎゅっとハグすると、猫のほうも嬉しそうにゴロゴロとじゃれついたそう。猫はジェシーと名付けられ、そこからローカンくんの新しい生活が始まりました。

数か月後にはローカンくんがジェシーに話しかけるようになり、ジェシーも小首をかしげてニャーと相づちを打つように。そしてそれが支えになったのか、彼も学校で少しずつ他人とコミュニケーションを取るようになり、授業で音読も出来るようになりました。さらにその後、ジェインさんは彼が猫に向かって「大好きだよ」と、家族にも言ったことがなかった、愛情表現の言葉をかけているのを耳にしたのです。

「猫には第六感があると言われていますが、ジェシーはローカンの心の問題をすぐに察知したかのようでした」とジェインさんが語るように、猫は常に彼に寄り添って生活を共にし、そして少しずつローカンくんが人との会話に慣れるように協力していたのかもしれません。

ジェインさんはジェシーの献身的な態度に心を打たれ、「Cat's Protection Awards」と呼ばれる、猫にちなんだ感動的な実話に対して賞を贈る英国のコンテストでローカンくんのことを紹介。すると見事にコンテストの“ベストフレンド猫賞”と、全国キャット・オブ・ザ・イヤー賞を受賞したのです。先日ロンドンの高級ホテルで行われた授賞式には、ジェシーの代理としてローカンくんが出席。舞台では物怖じすることなく、賞を受け取ったそうです。

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