異臭騒ぎの原因は“あの缶詰”、ガス漏れと勘違いで消防に通報。

2012/09/20 16:35 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


スウェーデンで暮らすある男性は先日、家の中に突然異臭が立ち込めて来たことに気が付き、ガス漏れの不安を感じ慌てて外へ出た。すると、同様に外へ出て来た近所の住民たちもおり、一帯に不測の事態が起こらないよう、消防へ連絡して対応に当たってもらうことにしたそうだ。間もなく消防に加えて警察も到着し、異臭の原因究明活動を開始。ところが、すぐに臭いのもとに気が付いた消防隊員が「無害だから」と告げ、原因を丁寧に説明し、住民たちを落ち着かせたという。

スウェーデン紙ザ・ローカルやアフトンブラーデットによると、この異臭騒ぎが起きたのはストックホルム近郊の街ゼーデルマルムにある住宅街の一角。9月8日午後7時頃、55歳の男性トーレさんは家の階段で「腐った卵のような臭い」を感じた。突然漂い始めた臭いに不安を感じながらも、彼はその臭いがいったい何なのかを調べようとネットで検索。そして、それがガスの臭いである可能性が高いと判断した彼は、家の中で漏れているのかも……? と考え始め、「とても怖くなった」ため慌てて外へと避難した。

ところが異変が起きていたのは彼の家だけではなく、ほかにも家の中で臭いを感じ外に出て来た近所の住民がいたという。お互いに不安をぶつけあった結果、彼らは問題を解決してもらおうと消防当局へ通報。そして間もなくやって来た警察と消防隊が、住民の不安をかき立てた臭いを確かめると、発生源を見つける前に「この臭いは無害」と住民たちに告げ、あっさりと臭いのもとがわかったという。

それは、発酵させた塩漬けのニシンが入った“世界一臭い缶詰”で有名な「シュールストレミング」。スウェーデンでは、8月の第3木曜日に発売が解禁される夏の食べ物として知られ、解禁直後のこの時期は友人同士で集まって一緒に食べて楽しむパーティーを開く愛好者も少なくない。消防当局は、今回のように缶詰の臭いをガス漏れと勘違いして通報を受けた例が「初めてではない」と言い、そのおかげであっさり原因が特定できたようだ。

その後の調べで、臭いの発生源は近くのアパートでパーティーを開いていた女性の部屋からと判明。トーレさんらの不安をよそに、女性は騒ぎの話を聞かされると「罪を犯しちゃったみたいね」と大声で笑ったという。

ちなみにトーレさんは、以前ほかの食材と一緒にシュールストレミングを口にして「ダウンした」経験があったそうで、彼にとっては今回の一件でさらに“不愉快な食べ物”になったのは間違いなさそうだ。


☆シュールストレミングとは

シュールストレミングは主にスウェーデンで作られる、ニシンの塩漬けを缶の中で発酵させた発酵食品。スウェーデン語で「シュール」は“酸っぱい”を、「ストレミング」はバルト海の“ニシン”を意味している。アラバスター(臭いを数値化できる機械)の計測によれば、納豆の17.8倍、焼きたてのくさやの6.3倍と強烈な臭いが特徴。スーパーには置けない、レストランでは開けられない、テレビ番組のイタズラで使うとタレントが泣いてしまう、といったエピソードが満載で、その名は世界に広く知られている。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.