サメのおかげで漂流に終止符、大海原で約4か月間生き抜いた男性救助。

2012/09/20 15:51 Written by Narinari.com編集部

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南太平洋の島国キリバスで暮らすある男性が、先日、サメのおかげで約4か月の漂流生活から救助されたと話題を呼んでいる。男性は今年5月末、義理の兄と共に自宅のある島に向けて木製ボートに乗って出港。普通に行けば2時間で到着するはずだったのだが、途中で釣りをして船中で一晩寝て過ごしたところから、彼の苦難が始まったそうだ。

英スカイニュースやラジオ・ニュージーランド・インターナショナルによると、4か月の漂流を経て生還したのはキリバス・マイアナ島で暮らす41歳の男性、トアカイ・テイトイさん。5月27日、首都タラワでの用事を済ませた彼は、自宅のあるマイアナ島へ戻ろうとしていた。来るときは飛行機を利用したものの、帰りは「途中で釣りをしよう」と計画を立て、52歳の義兄と共に船での帰宅を選択。「15フィート(約4.6メートル)」のエンジン付き木製ボートに乗り、港を出た。

そんな2人が危機に陥ったのは翌日のこと。釣りを楽しんで2人が一晩寝入ってしまっているうちに燃料が底をつき、大海原で動けなくなってしまったのだ。「食べ物はあったが、飲み物が全くないのが問題だった」というテイトイさんらは、ときどき降る雨で口の渇きを癒やせたこともあったようだが、強い陽射しが照りつける南太平洋とあって、脱水症状に陥る場面も少なくなかったそうだ。

そんなとき、カトリック教徒の彼は「強い気持ちになれるから」と懸命に祈りを捧げながら耐え続けたが、義兄は厳しい環境が続くに従って徐々に体調が悪化。残念ながら漂流が始まって1か月強が過ぎた7月4日、海の上で帰らぬ人となった。

弔いの気持ちを込めて義兄の隣で一晩過ごしたあと、翌朝海へ葬り、テイトイさん1人きりの漂流生活に。このとき、彼は「誰かが私を見つけてくれるのか、兄の後を追うのか」と不安な気持ちが大きくなったという。さらに1人になった直後、彼が漂う海域には「数日間続く」嵐が襲来。この試練を乗り越えると、「5ガロン(約19リットル)容器2つが満たされるほど」の雨水も蓄えられ、辛うじて命を繋げる余裕が再び生まれた。

しかし、その後も助けを見つけられぬまま時間は流れ、海に出て3か月以上が経過。そして迎えた9月11日、いつものように太陽を避けるため「小さな日よけ」の下で小さく丸まって大人しくしていたテイトイさんは、船底から何かこする音が聞こえることに気が付いたという。

水中を見ると、それは体長6フィート(約1.8メートル)程度のサメだった。サメは彼が注意を向けると、ボートの周りをひとしきり泳いでからその場を離れて行ったのだが、行く先を見守っていると、どうやらサメはその先にいた釣り船のほうへ向かっていることが判明。釣り船の船員も双眼鏡で自分を見ていると分かり、こうしてサメとの遭遇をきっかけに、彼は3か月半にわたった漂流生活から無事生還を果たした。

キリバスの北に位置するマーシャル諸島の船に助けられた彼は、9月14日に首都マジュロへ到着。厳しい環境を続けたものの、幸い健康状態は良好で、大きな問題はないという。「周りを泳いでいたサメが仲介してくれたから」と、助かるきっかけを与えてくれたサメに感謝するテイトイさん。今回の苦難を経験し、今後は「二度とボートで出かけず、飛行機を利用する」と話しているという。

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