“兄弟が脳卒中”自身も危険増、55歳以下ではリスクが約2倍に。

2012/09/14 11:32 Written by

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親が脳卒中にかかると子供もかかりやすいとされるが、兄弟姉妹がかかった場合でもリスクが上昇することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所心血管疫学のErik Ingelsson教授らの研究によって分かった。脳卒中患者の兄弟姉妹では、自身も脳卒中リスクが60%以上上昇し、55歳以下ではリスクが約2倍になるという。詳細は、米医学誌「Circulation: Cardiovascular Genetics」(2012; 5: 226-233)に掲載されている。

◎親の家族歴と同等の注意を

Ingelsson教授らは、1987〜2007年のスウェーデンにおける病院の退院記録と死因記録から脳梗塞など虚血性脳卒中の患者を割り出し、患者の兄弟姉妹(成人)3万735人がその後脳卒中を発症したかどうかを追跡。次に、年齢を一致させた脳卒中にかかったことのない人の兄弟姉妹15万2,391人も同様に追跡し、それぞれの脳卒中発症率を比較した。

その結果、脳卒中患者の兄弟姉妹は全体で脳卒中リスクが61%高いことが分かった。また、患者と同じ両親から生まれた兄弟姉妹に限るとリスクの上昇は64%となり、親の一方のみが同じ兄弟姉妹ではリスク上昇は41%だった。

患者が55歳以下で脳卒中を発症していた場合、兄弟姉妹が55歳以下で発症するリスクは約2倍(94%上昇)。患者と兄弟姉妹の性別は脳卒中リスクに影響を及ぼさなかった。Ingelsson教授は「兄弟姉妹の家族歴に関して、親の家族歴と同等の注意を払うべき」と指摘している。

◎遺伝だけでなく生活様式も関与か

Ingelsson教授によると、家族内でのリスク上昇は遺伝的な要素のみが原因ではなく、家族のライフスタイルが似通っていることが関係している可能性があるという。こうしたライフスタイルの要素は遺伝的な要素と異なり、改善が可能だ。同教授は「兄弟姉妹が脳卒中にかかったことがある場合、食事や運動、血圧管理などへの関心を高めるべき」と述べている。

今回の研究では、高血圧やコレステロール値異常など、虚血性脳卒中に関連する他の危険因子の情報がないため、家族歴が脳卒中リスクの上昇に直接影響を与えたのか、遺伝的および環境的な影響が作用したのかを見極めることはできなかったという。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/09/13/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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