爪楊枝飲み込み肝臓に刺さる、同様のケースは過去に日本含め世界17例。

2012/09/13 12:03 Written by

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カナダ・ダルハウジー大学医学部のBassam Abu-Wasel氏らは、うっかりのみ込んだつまようじが元で肝切除術を受けた女性の症例を、9月10日付の英医学誌「BMJ Case Reports」(電子版)に発表した。この女性は、高熱を伴う上腹部痛、悪心(吐き気)、嘔吐(おうと)、低血圧などで救急部門に入院。その後の検査で肝臓に膿(うみ)がたまる「肝膿瘍(のうよう)」と診断され、集中治療室での治療の後、肝臓の一部を切除する手術を受けたという。

◎過去、世界で17例の報告

肝膿瘍は肝臓に膿がたまる病気で、大腸炎や虫垂炎(盲腸)などでアメーバや細菌が肝臓の中で増殖して起こる。症状は、発熱や全身の倦怠(けんたい)感、右上腹部痛、黄疸(おうだん)などが挙げられる。診断が遅れると敗血症や多臓器不全などで命に関わることもあるが、他の病気との見分けが難しいともいわれている。

Abu-Wasel氏らが遭遇した症例は38.9度の高熱を伴う上腹部痛、悪心、嘔吐、血圧低下を繰り返して救急部門に入院した45歳の女性。この女性には子宮内膜剥離術以外の手術歴はなく、肥満、逆流性食道炎、2型糖尿病などの既往があった。入院前日の受診では目立った異常は見つからなかったという。

入院後の腹部エコー(超音波検査)から、肝臓につまようじが刺さっていることが判明。誤飲したつまようじが食道を貫通し、肝臓に達していたとみられる。女性はその後、呼吸困難や多臓器不全を引き起こし、集中治療室で治療を受け、症状が回復した時点で肝臓の部分切除術が行われた。

Abu-Wasel氏らの調べでは、これまでつまようじの誤飲による肝膿瘍の症例報告は世界で17例あり、2003年に報告された日本からの1例も含まれている。今回の症例は肝膿瘍から敗血症および多臓器不全を引き起こし、腹腔鏡下肝部分切除術が行われた初めてのケースではないかとしている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/09/12/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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