米国立がん研「日サロやめて」、“日焼け防止意識”持つよう訴える。

2012/09/11 16:36 Written by

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米国立がん研究所のAnne M. Hartman氏らが行った日焼けに関する2件の研究から、米国の若者は皮膚がんの発症リスクを高める行動を頻繁に取っていることが分かった。いずれの研究も米国の国民健康調査(NHIS)のデータを検討したもので、米疾病対策センター(CDC)発行の疫学週報「Morbidity and Mortality Weekly Report」(2012; 61: 317-322, 2012; 61: 323-326)に発表された。Hartman氏らは、日焼け防止の意識をより高く持つと共に、日焼けサロンの利用を避けるよう訴えている。

◎予防意識高まるも日焼けの需要高い

1件目の研究は、2000、03、05、08、10年のNHISデータを基に18〜29歳の日焼け状況と日焼け予防に関して検討したもの。この研究によると、「日焼け止めの使用」「日陰にいる」「足首まで覆う衣服の着用」などの日焼け対策を講じる人が増加しているにもかかわらず、半数が前年に1回以上日焼けしていた。

2件目の研究は、2010年のNHISデータを基に日焼けサロンの利用状況を検討したもの。その結果から、成人の5.6%が2010年に1回以上日焼けサロンを利用しており、特に若者の間で日焼けサロンが頻繁に利用されていることが分かった。中でも日焼けサロンを利用する割合が高かったのは、18〜21歳と22〜25歳の白人女性だった(それぞれ32%、30%)。

Hartman氏らは「皮膚がんを減らすには、レクリエーション施設に日よけスペースを設けたり、日焼け止めを使うなど日焼け予防に対する意識を高める取り組みがいっそう必要」と指摘。また、「この世代が高齢になったときにメラノーマ(悪性黒色腫)を発症しないよう、日焼けサロンのリスクについて教育することも重要な課題だ」と述べている。

皮膚がんは米国で最も発症率が高いがんで、皮膚がんの中ではメラノーマの致死率が最も高い。日焼けサロンの利用は皮膚がんリスクの上昇と関連しており、これまでの研究で35歳以前に日焼けサロンを利用すると、メラノーマを発症するリスクが75%上昇することが報告されている。


◎紫外線から身を守る6カ条

2件の研究から得られた主な結果は以下の通り。

・18〜29歳の日焼け率は白人で高く、黒人で低い(2010年時で66%、11%)。
・18〜29歳の女性で最多の日焼け予防は、日焼け止めの使用(37%)と日陰にいること(35%)。白人女性では日陰にいる割合が低く、黒人女性では日焼け止めの使用率が低かった。18〜29歳の男性で最多の日焼け予防は、足首まで隠れる衣服の着用(33%)で、次いで日陰にいること(26%)だった。
・18〜21歳の白人女性は日焼けサロンに年間平均28回通っており、日焼けサロンを最も多く利用する集団だった。
・白人女性のうち日焼けサロンの利用率が高かった集団は、中西部に住む18〜21歳(44%)と南部に住む22〜25歳(36%)だった。
・白人成人の日焼けサロン利用者のうち、年間10回以上利用していたのは男性より女性で多かった(40%、58%)。

紫外線から身を守る方法は以下の通り。

1.特に真昼の時間帯(午前10時〜午後2時)は日陰に入る
2.紫外線から皮膚を守る衣服を着用する
3.顔全体と首回りを覆うつばの広い帽子をかぶる
4.紫外線をほぼ100%カットする顔を覆う形のサングラス(ラップアラウンド型)をかける。サングラスは紫外線から目を保護するとともに、目周囲の薄い皮膚を日光から守り、白内障やメラノーマリスクを低減する
5.紫外線のA波(UVA)とB波(UVB)をともに防ぐことのできる、紫外線防御指数(SPF)15以上の日焼け止めを使用する
6.日焼けサロンを利用しない


※この記事(//kenko100.jp/news/2012/09/11/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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