道路大気汚染で糖尿病死亡2倍、二酸化窒素の影響を13年間追跡調査。

2012/09/06 15:47 Written by

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デンマークがん協会研究センターのO. Raaschou-Nielsen氏らは、デンマーク都市部住民を対象とした研究の参加者を平均で13年間追跡した結果、自動車の排気ガスに含まれる二酸化窒素(NO2)への暴露レベルが高いグループは、低いグループと比べて糖尿病による死亡率が2倍以上高く、居住地200メートル以内の交通量の増加も糖尿病死亡率を上昇させていたと、8月24日付の欧州医学誌「Diabetologia」(電子版)に発表した。Raaschou-Nielsen氏らは、道路交通による大気汚染への暴露を減少させることが糖尿病対策の一つになるかもしれないとしている。

◎二酸化窒素10マイクログラム増ごとに1.3倍

Raaschou-Nielsen氏らは1993〜97年、デンマークのコペンハーゲンとオーフスの住民のうち、50〜64歳(平均56.1歳)でがんにかかったことがない男女5万2,061人を登録し、2009年末までの糖尿病死亡を追跡。1971年以降の平均NO2濃度や、研究開始時の居住地の交通量によって大気汚染への暴露レベルを評価し、糖尿病による死亡リスク(死亡率比)を算出した。

追跡中に122人が糖尿病で死亡した。1971年以降の平均NO2濃度を数値によって4つにグループ分けして検討したところ、NO2濃度が最も低かったグループ(空間1立方メートル当たり13.6マイクログラム未満)に比べた糖尿病死亡リスクは、2番目に低かったグループ(同13.6〜15.5マイクログラム)で1.52倍、2番目に高かったグループ(同15.5〜19.4マイクログラム)で1.65倍、最も高かったグループ(同19.4マイクログラム以上)で2.15倍だった。NO2濃度が空間1立方メートル当たり10マイクログラム増えるごとに、糖尿病死亡リスクが1.31倍上昇することも分かった。

1991年以降の平均NO2濃度で見ると、空間1立方メートル当たり10マイクログラム増えるごとに糖尿病死亡リスクが1.18倍上昇した。

居住地から200メートル以内の1日の交通量が1キロ当たり1万台増えると糖尿病死亡リスクは1.04倍上昇したが、50メートル以内の主要道路の有無では、統計学的に有意な関連は認められなかった。

Raaschou-Nielsen氏らは、今回はNO2のみを評価したが、排ガスは酸化ストレスや炎症を引き起こすとされるさまざまな化学物質を含んでおり、それらの物質が糖尿病死亡に影響した可能性も考えられるとしている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/09/06/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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