低脂肪乳製品で脳卒中リスク減、ビタミンDの降圧作用による可能性。

2012/08/22 17:09 Written by

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スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C. Larsson准教授らは、成人7万4,961人の長期研究を実施し、「全脂肪乳製品を摂取する人に比べ、低脂肪乳製品を摂取する人では脳卒中リスクが低かった」と、米医学誌「Stroke」(2012; 43: 1775-1780)に発表した。

◎乳製品全体ではリスク低下見られず

Larsson准教授らは、スウェーデンに住む45〜83歳の男女7万4,961人に96品目の食品と飲料に関するアンケート調査を行い、食事習慣を調べた。食品と飲料の摂取頻度は、「全く摂取しない」から「1日3回以上」までの8つの度合いで分類した。

対象の人々は研究開始時点で心臓や血管の病気、脳卒中、がんにかかったことがなかったが、10.2年間(中央値)の追跡期間中に4,089件(女性1,680件、男性2,409件)の脳卒中が発生。3,159件が脳梗塞などの虚血性脳血管障害、583件がくも膜下出血などの出血性脳血管障害、347件が原因不明だった。

解析の結果、低脂肪乳製品の摂取は、脳卒中全体リスクと虚血性脳血管障害リスクと関連していることが分かった。低脂肪乳製品摂取量によって5つに分けたうちの最も低いグループと比べ、最も多いグループでは脳卒中全体のリスクが12%、虚血性脳血管障害リスクが13%それぞれ低かったという。

一方、乳製品全体、全脂肪乳製品、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの摂取と脳卒中リスクとの間に関連は見られなかった。

◎ビタミンDの降圧作用によるものか

低脂肪乳製品は血圧を下げるDASH食(ダッシュ食)の一つで、その効果はカルシウム、カリウム、マグネシウム、ビタミンDなどのビタミンとミネラルによるものである可能性が高い。Larsson准教授は「高血圧は脳卒中の主な危険因子であることから、今回の研究で観察された脳卒中リスクの低下は、ビタミンDの降圧作用によるものと考えられる」と説明した。

また、今回の研究について「公衆衛生学的な観点から見れば、今回の結果は高脂肪乳製品ではなく低脂肪乳製品の摂取を増やせば、脳卒中リスクの低下や他の良好な結果が得られることを示している」と述べた。

北欧と北米の人々は、古くから世界の他の地域に比べて乳製品の摂取量が格段に多い。Larsson准教授は「乳製品を低脂肪乳製品に切り替えることで何百万人もの人々の脳卒中リスクが低下する可能性がある」と期待を寄せている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/08/21/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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