大反響呼んだ“愛犬と湖”写真、飼い主の行動に3万件以上の感動の声。

2012/08/15 16:06 Written by Narinari.com編集部

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米国のある女性カメラマンは最近、愛犬との“別れ”が迫っていると知った飼い主の男性の依頼を受け、彼らの写真を撮影した。そして、撮影に至るまでの経緯を添えてFacebookに公開すると、そこにはたくさんの感動の声が寄せられ、さらには数多のメディアに紹介されるなど、大反響を呼ぶことになったという。

話題の写真は、8月1日にウィスコンシン州ベイフィールドに住む女性カメラマン、ハンナ・ストーンハウス・ハドソンさんが自身のFacebookで公開したもの。写っているのは同じ街に住む彼女の友人で、「果樹園の管理人」(米紙ダルースニュース・トリビューンより)を務める49歳の男性ジョン・アンガーさんと、19歳でシェパードミックスの愛犬ショップだ。水の中に入ったアンガーさんの胸へ身を預け、ショップが気持ち良さそうに目を閉じている瞬間を捉えた1枚。この写真には、彼らに迫った悲しい事情が込められていた。

アンガーさんがショップを飼い始めたのは、いまから18年前のこと。前の飼い主に虐待され、愛護団体に引き取られていたショップを気に入った彼は、引き取って当時の恋人と共に世話を始めた。虐待の経験から警戒心を見せていたショップも、時間が経つと徐々に2人に慣れ始め、幸せな時間を送っていたそう。ところが彼を飼い始めてから「1年くらい後」(米ニュースサイトMSNBCより)、アンガーさんと恋人が破局を迎えた。しばらくはショップを介して顔を合わせていたものの、彼女がコロラド州の大学院へ通うことになり、以後は完全に関係が絶たれたそうだ。

彼女との別れに大きなショックを受けたアンガーさんは、ある日、ショップを連れて五大湖の1つミシガン湖へ赴いた。そして1時間ばかり思い悩んだ彼は、「自殺しよう」と岸壁の上に立ったという。そのとき、足元で「見たことのない表情」を浮かべ、じっと自分を見つめる愛犬の姿に気付いた彼は、愛犬が「何かおかしいと気付いたんだ」と思い、自殺を思い止まった。それ以来、彼は気持ちを立ち直らせてくれた愛犬に感謝し、ずっと大事にしようと心に決めたという。

それからの幸せな時間はアッという間に流れ、気付けばショップも19歳に。体の衰えには逆らえず、先日、動物病院で診察を受けると、獣医から「重度の関節炎」を患っていると診断され、命の危険も指摘されたという。間近に別れが迫った現実を知りショックを受けながらも、「痛みを和らげてあげたい」と考えた彼は、関節炎にかかった人が水の浮力を利用して治療する話を思い出し、あるアイデアが閃いた。

それは、長く愛犬と散歩した際に立ち寄り、地元の街沿いに広がるスペリオル湖で治療するというアイデア。「水を怖がる」ショップを慣れさせるため、以前から湖でよく一緒に遊んでいたアンガーさんは、今年は水温が高いという湖にショップを抱いて入れば、リラックスできるのではと考えたそうだ。結果は大成功で、湖に入るとショップは彼の胸にもたれて睡眠。基本的には毎日行くことにしているが、ショップが楽しんでいるのがよく分かるため、用事などで湖に連れて行けないときは彼自身が「悩まされる」ほどだという。

そしていつ最後となっても良いように、アンガーさんは愛犬が安らぐ場所にカメラマンでもある友人のハドソンさんを招き、写真を撮って欲しいと依頼。事情を知った彼女は、渾身の1枚を撮影してFacebookで紹介すると、34万人以上が「いいね!」とし、3万6,000件以上のコメントが寄せられる(8月15日現在)ほど大きな評判となった。また、米国内にとどまらず、欧州や中南米のメディアでも紹介された結果、今では多くの人やメディアからも問い合わせが相次いでいるそうだ。

中にはショップの治療代を申し出る人も少なくないそうで、獣医にすら「素晴らしい人だけど全くお金に余裕がない」と言われるアンガーさんには、大いに助かってる様子。また、写真をプリントしたシャツなどの販売でハドソンさんの協力も得た彼は、年齢の問題を認識しつつも、残された時間を「出来る限り快適に過ごさせたい」と話し、多くの人の気持ちに感謝を示している。

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