筋トレで糖尿病リスクが減少、有酸素運動との併用ならさらに効果。

2012/08/08 19:30 Written by

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米ハーバード大学公衆衛生学部のAnders Grontved氏らは、米国人男性3万2,002人を対象に検討した結果、筋トレのみでも2型糖尿病になるリスクが減少すると、8月6日付の米医学誌「Archives of Internal Medicine」(電子版)に報告した。週150分以上の筋トレをしていた場合、糖尿病発症リスクは34%減少、有酸素運動を組み合わせた場合はさらに効果が顕著で、59%減少したという。

◎週60分増加ごとに13%のリスク減

糖尿病の治療に運動は有効で、特に基礎代謝を上げる筋トレを行った後、エネルギーを燃焼する有酸素運動を行うとより効果的という研究結果が報告されている。

Grontved氏らは、男性医療従事者(40〜75歳)およそ5万人を対象とした追跡研究のデータから、1986年の登録時から1990年までに糖尿病、がん、心筋梗塞、脳卒中などにかかったことがない3万2,002人を解析対象とした。

18年にわたって追跡したところ、2,278人が糖尿病を発症。また、筋トレを行う時間は、研究開始時で0分が2万6,439人、1〜59分が2,068人、60〜149分が2,078人、150分以上が1,417人だったが、追跡期間の1990〜2008年では、順に1,630人、507人、109人、32人だった。

筋トレを全くしない人に対する糖尿病発症リスクは、年齢、喫煙状況、アルコール摂取、糖尿病の家族歴、食事摂取などを加味した結果、筋トレ週1〜59分のグループで12%減、同60〜149分で25%減、同150分以上では34%減と、運動時間の増えるほど減っていった。また、筋トレする時間が1週間当たり60分増えるごとに、糖尿病発症リスクは13%減少することが分かったという。

有酸素運動でも同様の検討を行ったところ、運動時間が週1〜59分のグループで7%減、同60〜149分で31%減、同150分以上では52%減と、筋トレ以上の効果が認められた。なお、有酸素運動はウオーキング、ランニング、ジョギング、サイクリング、水泳、テニス、スカッシュ、体操などと定義されている。

◎運動強度など検討する研究を

さらに、筋トレと有酸素運動の両方を行った場合の糖尿病発症リスクについても検討した結果、それぞれを1週当たり150分以上行っていた人では、いずれの運動も全く行っていない人と比べて59%の減少が示された。

Grontved氏らは「今回の結果から、有酸素運動を行わずに筋トレ単独でも2型糖尿病発症リスクの減少が認められ、運動時間の増加とともにリスクがさらに減少した」と結論。ただし、今回の研究では筋トレの強度や効果の持続期間などの詳細な検討はしていないことから、さらなる研究の必要性を訴えている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/08/08/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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