シフト勤務者の体に迫る危険、日中勤務者に比べ心筋梗塞リスク23%増。

2012/08/03 14:16 Written by

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勤務時間が一定しないシフト勤務者は、難病の多発性硬化症や糖尿病、肥満などになりやすいことが報告されている。心筋梗塞や脳卒中もその一つだが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学疫学・生物統計学部のManav V. Vyas氏らは、これらの関連性を検討した34研究について解析を行った結果、シフト勤務者では日中勤務者に比べて心筋梗塞のリスクが23%、脳卒中リスクが5%高いと、7月26日付の英医学誌「BMJ」(電子版)に発表した。

◎200万人分のデータを評価

シフト勤務は、概日リズム(サーカディアンリズム)が壊されるため、さまざまな病気のリスクが高まるとされている。しかし、心臓や血管の病気との関連は、系統立てた評価がされていなかったため、はっきりとしたリスクが分からない状態だった。

そこでVyas氏らは、シフト勤務と血管病に関する事故(血管イベント)や死亡との関連性を検討した146研究のうち34研究(対象者計201万1,935人超)について、系統的レビュー(※1)とメタ解析(※2)を実施した。

なお、シフト勤務は、夕方からの勤務、夜間勤務、交代勤務、混合型勤務、変則的勤務、不特定勤務と定義している。

◎夜勤でリスク最大

心筋梗塞は6,598人、心臓の周りにある冠状動脈の病気による事故(冠イベント)は1万7,359人、脳卒中は1,854人に認められた。シフト勤務者は日中勤務者に比べ心筋梗塞リスクが23%増、脳卒中リスクが5%増、冠イベントリスクが24%増と、いずれも上昇していた。

なお、勤務形態の種類にかかわらず全てのシフト勤務者で冠イベントのリスクが上昇していたが、リスクが最も高かったのは夜間勤務者だった(日中勤務者に比べ41%増)。脳卒中や心臓病などによる死亡については、シフト勤務の影響は認められなかった。

Vyas氏らは、脳卒中や心臓病の予防法や初期症状について、シフト勤務者は教育されるべきだと主張している。

※1 系統的レビュー……過去に行われた複数の研究を選別、吟味、要約し、それらが最も良い科学的根拠(EBM)となるかどうかを評価する分析方法。システマチックレビュー。
※2 メタ解析……過去に行われた複数の研究結果を合わせて解析し、より信頼性の高い結果を導く分析方法。メタアナリシス。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/08/03/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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