「早く帰りたい」と原潜に放火、米海軍に約310億円の損害与える。

2012/07/27 17:31 Written by Narinari.com編集部

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長い社会人生活の中で、仕事を休みたい、早退したいと思うことは、誰にでもあり得る話だろう。しかし、米国の造船所で働く24歳の男性はその欲求が抑えきれず、周囲に多大な迷惑をかける形でとんでもない行動に出た。整備作業に従事していた米海軍の原子力潜水艦に、5月と6月の2度にわたり放火。原子力設備に影響はなかったものの、火災によって4億ドル(約310億円)もの損害を与えたという。

米紙USAトゥデーやニューヨーク・デイリーニュースなどによると、事件の現場となったのはメイン州にあるポーツマス海軍造船所。今年3月から米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦「マイアミ」のメンテナンスを行っていたところ、5月23日午後5時半頃に最初の事故が起きた。艦内の居住区に置かれた2段ベッドから燃え広がった火は、付近の魚雷室や指令室なども巻き込む火災に拡大。幸い原子力設備には影響がなかったが、12時間に及ぶ消火活動で「7人が負傷」(米紙ロサンゼルス・タイムズより)した上、総額4億ドルの損害を招いた火災は「造船所の事故としては史上最悪の一件」となった。

ところが、ほとぼりも冷めぬ6月16日に2回目の事故が発生。今度は艦内に置かれていた掃除機から火が上がっているのを作業員が見つけた。この際は迅速な対応が功を奏し、周囲を焦がすボヤ程度で鎮火させ大事には至らなかったそう。立て続けに起きた2つの事故を受けて、NCIS(米海軍犯罪捜査局)は関係者に対する調査を開始したところ、7月18日、1人の作業員が6月の放火を認める供述を始め、容疑者を特定したという。

この男は、造船所で原潜の塗装作業を担当していた24歳の民間人。当初は火災の目撃者として捜査に協力していた男は、NCISのポリグラフテストを使った尋問で反応が現れ、追及したところ自身の犯行を認めた。犯行の理由について男は、当時精神的に不安定な状態が続き、多量の薬を摂取したせいで「物事を判断できなくなった」と説明。さらに当時交際していた恋人からの「別の男性との交際を明かすテキストメッセージ」が、不安と「早く帰りたい」気持ちを増幅させたと話している。

結果、その不安が極限に達し、放火を実行。理由を話して自供した男は、7月20日になって大きな損害を出した1件目の犯行も認めたそうだ。

結局“元”恋人との関係も終わり、米海軍に甚大な被害を与えて起訴された男。7月23日から始まった裁判では、今後供述通りに罪を認めれば「終身刑か最高25万ドル(約2,000万円)の罰金刑」が下される可能性があるそうだ。ちなみに、米海軍ではマイアミを「艦隊に戻す」意向を示しているといい、被害を受けた部分の修理に入る予定だという。

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