“過去最悪”止まらぬ風疹流行、半年間の患者数が600人目前に。

2012/07/19 13:41 Written by

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日本国内の風疹(三日ばしか)患者報告数が、過去最悪のペースで増加している。国立感染症研究所が7月17日に更新した情報によると、今年初めから7月11日までに国内で報告された風疹患者数は594人。昨年も日本では風疹が流行し、感染研などが注意情報を出したが、1年間の報告者数は371人だった。一方、世界保健機関(WHO)は今月に入り、世界の麻疹(はしか)と風疹制圧に関する2020年までの世界的計画を発表。現在、公式サイトでは風疹に関する情報提供も行われている。

◎今後も流行拡大が懸念

感染研によると、今年初めから7月11日までの風疹報告者数は594人(男性460人、女性134人)。都道府県別の累積報告者数は、兵庫県と大阪府がそれぞれ134人、120人と、依然として上位を占めているほか、東京都の報告者数が118人と大きく増加している。

流行拡大を受け、東京都保健福祉局は7月12日にあらためて注意情報を発表。東京都の風疹患者数は前例のない数に達しており、今後も流行拡大が懸念されるとして、定期・任意の予防接種を受けるよう呼び掛けている。


◎「生涯にわたる病気、高額な治療費が必要」

一方、WHOは先日、「Global Measles And Rubella/ Strategic Plan 2012-2020」を発表。予防接種率を上げて、「麻疹関連死」と「先天性風疹症候群」をなくすための中長期的目標を掲げている。

風疹の症状は一般的に重くはないものの、妊娠初期の人が感染すると、約90%という高い確率で胎児に感染することが分かっており、風疹制圧の最も大きな要因とされている。胎児が感染した場合、先天異常をもたらすことがある。これが先天性風疹症候群だ。

WHOは「先天性風疹症候群にかかった場合、難聴や視力の低下や心臓の欠損、自閉症や糖尿病、甲状腺機能不全など、生涯にわたる病気を負い、病気の多くは高額な治療費を必要とする」と警告している。

一方、唯一の予防策である風疹ワクチンは40年前から使用されており、安全性や有効性が確立している。予防接種率の高いWHO米州地域では、風疹の自然感染が2009年以降ゼロの状態が続いているという。一方、予防接種率の低い地域では先天性風疹症候群の発症率が高いことが分かっているほか、世界では現在も年間11万人の先天性風疹症候群患者が報告されている。

WHOは3年後の2015年までに「世界の麻疹関連死を2000年と比べ少なくとも95%減少」「各地域の先天性風疹症候群の制圧目標を達成」することを掲げている。また、2020年までの目標として、「麻疹・風疹(MR)ワクチンの2回接種率を高めること」「予防接種活動の積極的な推進、有効な動向調査や流行時の緊急対応などに関わる体制づくり」などが挙げられている。

※この記事(//kenko100.jp/news/2012/07/19/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(//kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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