毎日“誰か”に12万円を配る男、宇宙旅行やめて始めたプロジェクト。

2012/07/17 16:51 Written by Narinari.com編集部

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多くの人にとって、そう簡単に手に入れることはできないお金。しかし中には、期せずして大金を得る人もいる。現在英国で暮らすある男性もその1人。2年前、突然“必要以上の大金”が転がり込んで来た男性は、あまり考えずにヴァージン・ギャラクティック社が募集する宇宙旅行に申し込んだ。ところがその数日後、お金の使い道に疑問を覚えた彼は申し込みをキャンセルし、自分のやりたいことを熟考した上で、毎日見知らぬ人へ1,000ポンド(約12万円)をあげるプロジェクトを始めたという。

プロジェクト公式サイトや英紙デイリー・テレグラフによると、「We Are Luckyプロジェクト」なる行動をしているのは、ロンドン出身の30代後半の男性。匿名を条件に同紙の取材に応じ“ミスター・ラッキー”と呼ばれる彼は、昨年まで保険会社で働く会社員だった。そんな彼に転機が訪れたのは、2年前のこと。プロジェクトを開始するまでの経緯は、「We Are Luckyプロジェクト」公式サイトに記されている。

思いがけず必要以上の大金が入り、40万ドル(約3,200万円)の費用がかかる宇宙旅行を申し込んだ男性。その話を友人たちに自慢すると、彼らは総じて羨ましがった。ところが「もしも自分たちにそのお金があったら」と話し始めた友人たちのアイデアを聞いているうちに、男性は友人たちが考えた使い道のほうが「創造的で太っ腹で、責任感がある」と感じ始めたそうだ。すると、宇宙旅行にお金を使うのが「利己的で無意味なきまぐれ」だとする思いが日に日に強くなり、数日後には旅行をキャンセルしていた。

そして、宇宙旅行に使うはずだったお金で「素晴らしいことをしよう」と心に決めた彼が思い付いたのが、見知らぬ人たちに毎日1,000ポンドずつ渡していく「We Are Luckyプロジェクト」だ。

しかし、お金を人に配るくらいなら、慈善団体へ寄付する方法もあるはず――と考える人は少なくないかもしれない。実際その点を聞かれることもあると話す“ミスター・ラッキー”氏は、渡した人が寄付してくれたら「あげた自分も心暖まるし、寄付したその人も心暖まる」と説明。つまり自分と同じように、突然お金が転がり込む幸運と使い道を考える責任感を、ほかの人にも味わって欲しいというのが彼のプロジェクトの趣旨だ。

彼が渡すお金は「本屋や歴史的建造物」などさまざまな場所に隠され、ツイッター上で場所のヒントを出す“宝探し”形式で実施。48時間の制限以内に、ヒントを解き明かして見つけた人が彼のお金を得ることができる。渡したお金をどう使うかは「彼らに任せる」としているが、彼は見つけた人と接触して使い道を聞いた上で写真を撮らせてもらい、公式サイト上に掲載。これまでに、英国以外にフランスや米国、南アフリカやインドネシアなど世界各地の人が幸運を得ており、現在掲載されている写真の人数は80人弱、渡した総額は10万ポンド(約1,230万円)近くになるそうだ。

デイリー・テレグラフ紙では先日、ロンドン市内に10人分のお金を隠して動き回る彼に密着。スペインからの留学生や病気の夫を抱える女性など、お金を見つけて彼からメッセージカードを受け取った人々は、誰もが目を輝かせて喜んでいたそうで、記者は彼らの反応を目の当たりにして彼がプロジェクトを始めた「理由が分かった」としている。果たしてそんな幸運に預かれる機会が日本にも訪れるのか、期待する人はしっかりチェックしておいた方が良いかもしれない。

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