10トンの鉄橋を白昼堂々盗む、“作業中”現れた警察も欺いた窃盗団。

2012/05/09 13:35 Written by Narinari.com編集部

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新興国の需要拡大などを受けて、近年、“鉄”の相場は高騰を続けている。それに目を付けた犯罪組織が鉄製の資材を盗む事件も世界各地で発生しており、被害に頭を痛めている企業も少なくない。先日チェコでは、使われなくなった鉄道会社所有の鉄橋が、白昼堂々丸ごと盗まれる事件が発生。犯行途中、現場にはパトロール中の警察官も現れたそうだが、彼らは警察をも欺く周到な準備をした上で犯行に及んだという。

露通信社リア・ノーボスチや英紙デイリー・テレグラフによると、盗まれたのは、観光地として知られるチェコ西部カルロヴィ・ヴァリを流れる川にかかる鉄橋。1901年に建造されたこの橋は国営チェコ鉄道が保有するもので、最近は廃線となり電車は通っていなかったそうだが、長さ200メートル、総重量10トンという巨大な建造物だ。

しかし、そんな橋を丸ごと盗もうと画策する犯罪者集団が現れた。チェコ東部のスラヴコフを拠点とするグループが、先日、わざわざ西部にあるこの鉄橋へとやってくると、日中の間に「クレーンやトラックを使って」橋をすべて解体し、スラヴコフへ奪った資材を運んだという。彼らは橋に敷かれていた線路までも盗み、事件発覚まで橋のチェックを行っていなかったというチェコ鉄道の隙を突いて、大胆すぎる犯行を成功させた。

しかも犯行時には、途中でパトロール中の警察官も顔を出していたそう。彼らは事情を求める警察官にも動じず、自分たちが「使われなくなった線路をサイクルロードにするため、橋の解体要員として雇われた」と説明すると、鉄道会社から送られたという仕事依頼の偽造文書を提示。これで警察官もすっかり彼らを信用してしまい、鉄橋の盗難を防げなかったという。

チェコ鉄道は事件後になってようやく現場の確認を行い、盗まれたことを把握したとも。運行に利用されていなかったとはいえ、鉄橋自体が大事な資産とあって、今回の解体盗難事件にチェコ鉄道は「大きな痛手」と頭を抱えているそうだ。

気になる被害額は200メートルの線路だけでも「12万コルナ(約50万円)相当」とされ、橋そのものは「数百万コルナ(100万コルナ=約420万円)相当」に上るとのこと。なお、チェコでは2008年にも4トンの鉄橋が盗まれ、その話題は通信社を通して世界中で伝えられたことがある。

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