泥棒被害者を泥棒遺族が提訴、逃走時に足を踏み外して死亡したため。

2012/05/08 16:50 Written by Narinari.com編集部

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泥棒に入られた被害者が、泥棒の遺族から提訴される――こんな出来事が先日、中国であった。なぜそのような裁判になったのか。それは、泥棒が侵入した家から逃走を図った際に、足を踏み外して死亡。これを遺族が問題視したのだという。

中国紙寧波日報などによると、この一件は2010年、浙江省で起きた。寧波市江北区のマンションで暮らす李さん宅に、陳という名の泥棒が侵入。陳は盗みを働いた後、現場から逃走を図るが、その最中に足を踏み外してマンションから落下してしまい、不幸にも帰らぬ人となってしまった。

泥棒とは言え、遺族にとっては愛する家族であることには変わりはない。悲嘆に暮れた陳の遺族は、本来“被害者”であるはずの李さんを相手取り、裁判へ踏み切った。訴状内容は「息子は李さんの家に入った。李さんには息子の安全を保障する義務があるが、その義務を怠った」というもので、李さんから精神的苦痛を受けたなどとして、葬儀費などを含む慰謝料約67万元(約850万円)を請求した。

もちろん、李さんからすれば遺族の訴えはまったく受け入れられないもの。泥棒に入られた挙句、泥棒の死亡事故の責任を負わされるなどもってのほかだ。そして舞台は法廷に移され、両者の争いが始まった。

法廷で陳の遺族は「息子は李さんが『泥棒!』と大きな声を発したことが、足を踏み外す直接の原因となった」と主張し、李さんの責任を追及。一方、李さんは「事故当時、室内で陳との接触は一切なかった。泥棒に入られたと知ったとき、すでに陳の姿は部屋になく、窓からその姿を目撃したときは6階か7階あたりにまで逃走していた。そのときになって本能的に『泥棒!』と叫んだ」とし、陳の死亡に対する責任は自分にはないと反論した。

結果として裁判所は、事故当時の陳は成人年齢に達しており、明け方にマンションをよじ登って部屋に侵入することが危険な行為であると十分理解していたと判断。事故当時、警察が立件しなかったことからも李さんに責任はないとし、陳の遺族の請求を却下したとのことだ。

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