議会混乱で紙製品買えずピンチ、“トイレットペーパー危機”に怯えた街。

2012/03/17 11:53 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


米国のある街で、“トイレットペーパー危機”が起きた。半年あまり続く市長と議会の対立が原因で、公共施設で使われるトイレットペーパーの在庫が底を尽きかけ、ピンチに陥ったのだ。

米紙ザ・スターレッジャーによると、この問題が起きたのはニュージャージー州の街トレントン。トレントン市議会では、昨年9月から市長が提出した予算案の一つを議会側が否決する事態が続いていた。この予算案はトイレットペーパーやコップといった紙製品を購入するためのもので、議会側は市長側が見積もった紙コップの単価が「高すぎる」として承認を拒否。市長側は9月から3回もこの予算案を提出したものの、これらがすべて否決されたため、街は一向にこれらの紙製品を調達できない事態となった。

そうした状況が半年あまり続き、いよいよ困ったのがさまざまな公共施設にも用意しなくてはならないトイレットペーパーの在庫。今年度分は一切購入できていない中で、3月12日現在で残された量は、市役所のほかに警察署や消防署、博物館といった関連施設に使う分も含めて「段ボール箱の半箱程度」だけと切迫していた。

こうした状況はトレントン市にとって、“たかがトイレットペーパー不足”と片付けられる問題ではない。もし公共施設の洗面所にトイレットペーパーや手を拭く紙タオルなどを置けない状況が続いた場合、衛生上の問題として州から指導を受ける可能性があり、場合によっては「建物の閉鎖」を命令される可能性もあったという。警察署のトイレでは紙タオルが2週間ほど置かれていない状況が続いたが、そもそもはトイレ用品と関係のない紙コップの単価の問題だけに、ある警察関係者からは「彼らは紙コップの話ばかりでおかしいよ」と、議会関係者に呆れたとの声も。

政治家たちのお粗末な対応が生んだとも言える、トレントン市の“トイレットペーパー危機”。ただ、この話題が米国でも大きな注目を集めた影響もあってか、議会も解決に向けて動き出した。法案否決の原因が「紙コップにあると理解した」という市長側は、新たに紙コップ代を除いた予算案を先頃議会に提出。これが緊急承認され、一時的に“トイレットペーパー危機”は回避の見通しとなった。

また話題が知れ渡ったおかげで、トレントン市には寄付も寄せられたとのこと。米国の動物保護団体PETAは、動物保護のメッセージを入れたトイレットペーパーを半年分提供すると申し出たほか、家電メーカーのダイソンは紙タオルの代わりにとハンドドライヤー15台を街に寄付したという。論争は大いに結構だが、市の職員や市民を困らせないよう、速やかな意思決定をお願いしたいところだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.