コースターで8秒“無重力”体験、遊園地で気軽に宇宙を感じられる?

2012/02/29 10:46 Written by Narinari.com編集部

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ジェットコースターの魅力といえば、勢いよく風を切っていくスピード感とコースが織りなすスリル感。さらに今では富士急ハイランドの「ドドンパ」のように、一瞬の無重力感を味わえるモノまで存在しているが、それがもっと味わえるコースターが出来たら、皆さんは乗ってみたいと思うだろうか。このほど米国のデザイン会社が、NASAの訓練飛行機からヒントを得たという新コースター計画を発表した。カリフォルニア州のテーマパークに設置予定のこのコースターは、急落下するコースを用意するほか、スピードの調節によって8秒間の無重力状態(※厳密には微重力状態)を体験できるそうだ。

米科学情報サイト「ライブ・サイエンス」によると、「Vomit Comet(嘔吐彗星)」と名付けられた新コースターの開発を発表したのは、カリフォルニア州にあるBRC・イマジネーション・アーツというデザイン会社。このコースターは同州のテーマパーク「シックスフラッグス・マジック・マウンテン」に設置予定で、総工費は4〜6,000万ドル(約32〜48億円)を見込んでいる。明確なサービス開始時期については現時点でまだ明かされておらず、未定のようだ。

同社のボブ・ロジャースCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)によると、この「Vomit Comet」開発のきっかけとなったのは、NASAが宇宙飛行士の無重力訓練を行う際に使用する「KC-135A」、通称“Vomit Comet”と呼ばれるジェット機。このジェット機は急上昇した後に急降下させることにより、約25秒間の無重力状態を作る。BRC・イマジネーション・アーツ社はこれをヒントに、誰でも気軽に無重力を体験できるジェットコースターを考案したそうだ。

その仕組みは、コースターを時速約100マイル(160キロ)以上のスピードで急上昇させた後、ほぼ垂直に急落下させてコースターをさらに加速。そして「一定の速度に達したところ」で微妙に減速させることにより、乗客は無重力状態に体験できるという。さらにロジャースCCOは、「地平線などから自分たちの向きが判断できないように」と、外が見えないカプセル状の乗り物にすると説明。方向感覚を失った乗客は、無重力状態でさらに「スリルが高められるだろう」と、このコースターの楽しさをアピールしている。

ただし、毎回しっかり決まった時間の無重力を実現させるためには、どんな乗客が乗ろうとも正確に同じスピードを出す技術が必要。そのため、出発時には毎回人を乗せたコースターの総重量を計算した上でパワーを調節するそうで、さらに長い時間の無重力状態も検討しているロジャースCCOは「経験がモノを言う」と話している。

これが完成すれば、ジェットコースターとして楽しむのはもちろん、NASAで行われているような実験を「小学校の科学プロジェクトとしても可能になる」と胸を張るロジャースCCO。米国では誰もが気軽に、しっかり無重力体験を味わえるときがすぐそこまで迫っているのかもしれない。

ちなみに、「嘔吐彗星」の名前を見て不安に思った人もいるかもしれないが、各座席にはしっかり紙袋が用意されるそうだ。

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