運賃支払えず墓地に置き去り、極寒の中で“幽霊”と勘違いされ助かる。

2012/01/24 17:29 Written by Narinari.com編集部

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中国で先日、タクシー代を支払わなかった男性が山奥の墓地に置き去りにされ、警察が出動する騒ぎが起きた。この男性、発見されたときには恐怖のあまり、ガタガタと震えながら墓地に横たわっていたという。

中国紙遼瀋晩報などによると、この一件が起きたのは1月10日明け方のこと。墓守の老人から、遼寧省の丹東市桃源派出所に電話が入った。内容は「墓地から変な声が聞こえる。早く来てください」というもの。電話を受けた警官の話では、この墓守のキャリアは長く、“肝っ玉が大きい”人物としても知られている。そのため、そんな彼からの緊急連絡は「尋常ではない」と判断し、同僚を連れて急遽パトカーで墓地へ駆けつけることにした。

墓地があるのは市街地から5キロほど離れた山の中。夜になると灯りはほとんどなく、暗闇が周囲を覆うひっそりとした場所だ。警官らが現場に到着すると、墓守は震えながら「夜中に犬が突然吠え始め、異変を感じて墓地に入ると、どこからともなくうめき声のようなものが耳に入ってきた」と状況を説明。墓守として働いてきたこの数年間、こうした出来事には一切遭遇したことがなく、「本当に幽霊なのではないか」と恐れおののき、すぐに逃げ出して警察に緊急通報したとのことだ。

もし本当に幽霊なら警察が出動したところでどうにかなる問題ではないが、警官2人は意を決して墓地へ向かうことにした。手に懐中電灯と拳銃を握り締め、墓守に導かれるまま一歩一歩ゆっくりと墓地の奥へ。そして、墓地の中心部あたりに到達したときだ。墓碑を照らしていた懐中電灯の灯りを下に向けたそのとき、草むらに突如“半目の青白い顔”が浮かび上がったのだ。墓守は悲鳴を上げ、警官も震えが止まらなくなった。

現場に居た3人は共に足を動かすことができず、しばらく呆然と立ち尽くしたが、冷静さを取り戻した警官が拳銃を構えながら恐る恐る“顔”に近付いていくと、それは酒気を帯びた40歳ぐらいの男性だと判明。よく見ると息はしており、死んでいるわけではなかった。薄着でガタガタと身体を震わせながら、かすかに助けを求める声を発しており、すぐに男性をかついで派出所に向かったそうだ。

派出所に戻り、徐々に身体が暖まってきた男性は意識もしっかりと回復。「なぜ墓地にいたのか」を語り出した。劉と名乗る男性の話では、彼は定職についておらず、大の酒好きとのこと。9日夜に小さなレストランでたらふくお酒を飲み、酔っ払いながら帰途につくことにした。当初は歩いて帰る予定だったが、途中で一歩も動けなくなり、仕方なくタクシーに乗ることに。しかし、彼の持ち金はすでに底をついていた。そこで、ある程度の距離をタクシーに走らせてから、朦朧とした状態でドライバーに事情を説明。「お金がない」と正直に告白した。

すると、タクシーのドライバーは激怒。しかし、怒ったところで劉さんには支払い能力がない。そこでドライバーは劉さんを目的地とかけ離れた問題の墓地につれて行き、そこでまどろむ劉さんを無理やりひきずり降ろしたのだという。

冬の寒さの中で酔いが冷めると、劉さんは自分が置かれている状況にビックリ。周囲を見渡すと暗闇、そして墓しかない。焦った劉さんはすぐにそこから脱出しようと駆け出したが、冷静さを失っていた彼は墓地を走っているうちに靴やアウターをどこかに落とし、最後の最後にはついに走ることもできなくなってしまった。そして、劉さんが発した助けを呼び求める声が墓地にこだまし、墓守を呼び寄せた――。これが一連の“幽霊騒動”の経緯だったという。

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