“本へのラブレター”が話題に、閉店後の書店で遊ぶ本を動画で表現。

2012/01/17 14:25 Written by Narinari.com編集部

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Amazonをはじめとするネット書店の台頭などにより、国内外で街の書店の苦境が伝えられる昨今。生き残りをかけ、あの手この手の販売戦略を模索する書店は少なくないが、そうした中、カナダの映像ディレクターが本の魅力を伝えようと、書店を舞台にしたストップモーション動画を制作した。紙の本だからこそできる、夢のある世界を描き出したこの動画は評判を呼び、YouTubeへの投稿から1週間で190万回超の再生回数を記録している。

この動画は、1月9日付で投稿された「The Joy of Books」(//www.youtube.com/watch?v=SKVcQnyEIT8)。制作したのはトロントの広告代理店に勤める映像ディレクターのショーン・オーレンカンプさんで、同市内にある書店の閉店後に撮影を行った。カナダ紙ナショナル・ポストによると、この動画を制作したきっかけは、昨年7月に妻のリサさんと自宅で撮影した1本の動画にあったという。

その動画は、本棚の本が遊んでいるような動きを見せるストップモーション映像「Organizing the Bookcase 」(//www.youtube.com/watch?v=zhRT-PM7vpA)。YouTubeに投稿した動画は再生回数が18万回超(1月16日現在)に達するなど、思っていた以上の反応に気を良くしたオーレンカンプさんは、書店が協力してくるなら「妻と一緒に何かしたい」と、新たな動画作りに意欲を燃やしていた。その希望に応じたのが書店「タイプ・ブックス」だ。

トロント市内に2店舗を構えるというこの書店。店長のジョアン・サウルさんは、最近人々の目が書店から離れつつある現状を危惧していた。実際、トロントでは1月中に2つの書店が閉店する予定で、小さな書店を取り巻く状況は厳しいという。そんなときにオーレンカンプさんから動画の話を持ちかけられ、その内容が「本へのラブレター」になるとの趣旨を理解したサウルさんは、自分の力にもなると申し出に応じたそうだ。

撮影は午後6時の閉店後から翌午前10時の開店までの間に行われ、4日間かけて行われた。妻リサさんをはじめ、毎晩15人から20人のボランティアが参加。そこに映し出されているのは、閉店後の暗い店内で開かれる“本のパーティー”だ。色とりどりの本が、パレードのように様々に動き回る様子は、何ともメルヘンチックな世界。その出来栄えは、サウルさんも「本当に素晴らしい」と絶賛するほど満足だったようで、自身のツイッターに多く寄せられた反応を見続けて「一晩眠れなかった」とも話している。

その評判はカナダ国内のみならず世界へと広がり、大ブレイク。この反応を受けてサウルさんが「多くの人たちがまだ本を好きだということを証明してくれた」と喜べば、オーレンカンプさんも動画のような“本の魔法”を確かめるためにも、「皆の気持ちがずっと本に向いていて欲しい」(ナショナル・ポスト紙)と語っている。そんな本の魅力が感じられる彼の作品を、皆さんもぜひ一度、ご覧になってみてはいかがだろうか。

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