200万で売った絨毯に7億の価値、元所有者と競売業者の間で裁判に。

2011/12/21 08:46 Written by Narinari.com編集部

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興味がない人には全く無価値に思える物でも、欲しい人にとっては相当な宝物だったりするから世の中分からない。ドイツのある女性は、ペルシャ絨毯で大きな損をしたと知り、売却を任せた競売業者を訴えているそう。2年前に引っ越しを考えた女性は、家にあった大きなペルシャ絨毯を処分しようと競売業者に相談し、2万ユーロ(約210万円)を手にして予想以上の金額に喜んだ。しかし翌年に驚愕の事実を知ることになり、怒りが爆発したという。

独紙ディ・ヴェルトやザ・ローカルによると、競売業者を訴えたのはバイエルン州に住む女性。2009年、夫と死別した女性は家を引っ越そうと考え、必要ないものは競売で売ろうと、アウグスブルグの競売業者に相談した。そして同年10月、業者は女性の持ち物を競売にかけて売却。その中にあった縦3メートル×横1.5メートルの大きなペルシャ絨毯は2万ユーロの値が付き、「900ユーロ(約9万3,000円)くらいと考えていた」(ザ・ローカル紙より)女性にとっては、思わぬ高額落札に頬がゆるんだそうだ。

ところが2010年4月、女性の喜びは怒りへと一変する。英国の有名業者クリスティーズが行った競売に、彼女が2万ユーロで売ったペルシャ絨毯が登場すると、欧米や中東の「イスラム芸術を専門とする」(ディ・ヴェルト紙より)コレクターが値を競い合い、最終的に720万ユーロ(約7億4,000万円)で落札されてしまった。「世界で最も価値のある絨毯」の話題はドイツにも伝わり、この話を知った元所有者の女性は金額を知り憤慨。自分が任せた業者に怒りの矛先を向けた。

実は女性が所有していたのは「17世紀中頃」に作られた伝統あるペルシャ絨毯だという。1939年に亡くなったフランスの資産家が所有していたものが1987年にモナコで競売に出され、これをドイツのディーラーが落札。ところが「価値を理解していなかった」(ザ・ローカル紙より)ディーラーが、このカーペットを家政婦へプレゼントすると、この家政婦も友人である今回の女性にあげてしまい、さらに女性が2年前に売却――という流れを辿ってきたそうだ。

巡り巡ってカーペットを手にした自分もその価値が分からず、むしろ「部屋に収まらなくて」持て余していたという女性。彼女にとって不運だったのは、相談したアウグスブルグの業者も「カーペットの専門ではなかった」ため、その価値に気付かなかった点だ。当時このカーペットを2万ユーロで落札したのは、「特別な何かがあると感じた」ハンブルグのディーラーで、結果的にこの直感により競売で大きく儲けることになった。

そこで億単位の価値があったにも関わらず、200万円程度しか手にできなかったことに納得がいかない女性は、自分が任せたアウグスブルグの業者を相手取り「35万ユーロ(約3,600万円)の補償」を求める裁判を起こした。業者側は絨毯が専門外だったと説明した上で、「どういうものか分かっていれば、依頼を断っていた」として、補償義務はないと主張しているという。

これまでに、裁判所は「女性に8万ユーロ(約830万円)を払う」和解も提案したというが、業者側の弁護人が「破産に追い込まれる」としてこれを拒否。女性も「充分な額ではない」と提案自体に不服なようで、引き続き進められている裁判は、来年1月の終わり頃に何らかの決着がつく見込みとされている。

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