極寒の地で亡きがらに寄り添う犬、2週間離れず“ハチ公”の愛称も。

2011/12/20 10:25 Written by Narinari.com編集部

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氷点下50度にもなる極寒のロシアで、死んだ仲間のそばに2週間寄り添っていた犬が話題を呼んでいる。この犬、地元では日本の忠犬から名を取った“ハチ公”の愛称で呼ばれているという。  

この時期、連日氷点下数十度まで気温が落ち込むシベリア内陸の都市ヤクーツク。この街で人々の注目を集めたのが“ハチ公”と呼ばれるようになった1匹のオス犬だ。ロシア放送局ロシアの声によると、この犬は以前空港の利用客に捨てられ、ヤクーツクでの生活を余儀なくされた。その後良き仲間を見つけた犬は、一緒にガレージを住み家として生活を始めたそうだ。

ところが先日、この仲間が「恐らく毒を盛られた」(ロシア通信社リア・ノーボスチより)ものを口にしてしまい、子を身籠りながら息を引き取った。すると、最愛の仲間の異変に気付いた犬は助けようと思ったのか、氷点下50度にまで下がる厳しい寒さの中、「自分の体で彼女を暖め」(ロシア放送局RTより)片時も離れずに見守り始めたという。この行動がネットで広まると、地元の人たちは犬が命を落とさないようにと、餌などを持ち寄るようになった。

そうした中で多くの住民たちが気を揉んだのは、ヤクーツクの厳しい寒さにさらされ「彼が凍死しないか」という点。一部の人たちは一時的にでもこの犬を保護しようと、2時間の格闘の末連れ帰ったこともあるという。しかし仲間が気になって仕方がない犬は檻を抜け出し再び元の場所へ戻ってしまい、再び保護しようとしても住民たちから逃げ回り、頑なに連れて行かれるのを嫌がる素振りを見せた。

そんな経緯があったものの、餌をあげるなど献身的にサポートする住民たちへの警戒を次第に解いていった犬は、最終的には温かい動物保護施設で一時的に暮らすことに。現在は「新たな飼い主を探している」(リア・ノーボスチより)状況だという。

厳しい寒さの中、仲間のためにずっとその場を離れなかったこの犬を、地元では“ヤクーツクのハチ公”と呼んで評判になっている。そして、ロシアのメディアが“ヤクーツクのハチ公”の話題を報じたところ、話は海外へも広まり、先日ドイツ・ケルン在住の女性から引き取りを希望する連絡もあったそうだ。しかし、「遠くドイツまで運ぶのは命に危険が生じる」(ロシアの声より)との見方から、ヤクーツク周辺に住む人の中から新たな飼い主を見つける意向だとされている。

これだけ仲間を想い続けたロシアの“ハチ公”なら、新たな家でも主人を愛し、幸せな生活を送れるに違いない。一日も早く良き飼い主に巡り会えることを願うばかりだ。

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