昏睡の妻に聴かせた“愛の歌”、夫の献身的なサポートで目覚める。

2011/12/13 16:31 Written by Narinari.com編集部

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愛するパートナーを思いがけない事故や病で突然失う悲しみは、想像を絶するものがあるだろう。中国では先日、重度の昏睡状態に陥り、一切コミュニケーションが取れなくなったパートナーを必死に介護し続けた男性の話が伝えられた。介護を始めてから約1か月後、パートナーは涙を流すようになり、その後、奇跡的に目覚めたそうだ。

中国紙華商晨報などによると、この出来事は遼寧省の鞍山市中心医院でのこと。8月下旬のある日の明け方、30歳の女性・劉さんが同病院に担ぎ込まれた。自宅で眠っていた彼女は妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)から突然激しいけいれん発作を起こし、心臓や腎臓、呼吸機能などが衰弱。生死に関わる危険な状態に陥ってしまったのだ。劉さんは妊娠37週で間もなく出産という時期を迎えていたが、病院に到着したときにはすでに胎児の生命は絶たれ、医師は劉さんの命を救うことを第一に、最善を尽すことにした。

しかし、治療は難航。症状は一向に良くならないどころか心肺停止状態になってしまう。10数分間にわたり600回近くの心臓マッサージを行い、かろうじて心臓は再び鼓動を始めたが意識は回復せず。以後、重度の昏睡状態が続く状態になり、医師も家族に諦めるよう伝えたという。

それでも夫の徐さんは決して諦めなかった。結婚して7年、これまで口論という口論さえしてこなかった大変仲が良かったパートナーを、こんなにも簡単に失うわけにはいかない。彼は自分ができる限りのことで妻を支えようと、来る日も来る日も病院を訪れては彼女の耳元で話しかけ、音楽を流し、マッサージをしたりしてコミュニケーションを取ることに。自分がどうしても病院に見舞いに行けないときは、看護師にお願いして携帯電話を耳元に置いてもらい、必死に話しかけ続けた。

すると、こうした徐さんの思いが通じたのか、劉さんが昏睡状態に陥って29日目、いつものように音楽を耳元で流してあげると劉さんの目から涙が1滴、2滴と流れ出てきたのだという。これには徐さんはもちろん、劉さんの治療を担当した主治医もびっくり。そして目を覚ました劉さんは、この約1か月について後に「夫が毎日私に音楽を聴かせてくれたことはわかっていました。歌詞もメロディーもわかっていました。ただ、それに応えるこができなかったんです」と振り返っている。

11月下旬になると劉さんの体調は上向き、たどたどしいながらも会話ができるようになった。また、少しなら動くこともできる状態まで回復。劉さんはこうして自分が目覚めることができたのは夫のお陰だと思っており、「もし彼が毎日私に付き添ってくれず、毎日歌を流してくれていなかったら。もし彼が私をマッサージしてくれず、耳元で私の名前を呼び続けてくれなかったら。私はこんなにも早く回復はできなかった」と、涙を流しながら地元紙に語った。そして最後には「彼と結婚して本当に良かったです」と満面の笑みで答えたという。

ちなみに、夫の徐さんが妻の耳元で流し続けた音楽はフェイ・ウォン(王菲)とイーソン・チャン(陳奕迅)によるデュエットナンバー「因為愛情」とのこと。この曲は映画「将愛情進行到底」の主題歌で、1組の男女の恋の思い出を歌詞につづった“愛の歌”として知られている。



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