豚2頭と一緒に裸で4日間生活、米芸術祭でアーティストが自ら“展示”。

2011/12/08 02:13 Written by Narinari.com編集部

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世間の常識に捉われず、自由な発想で多種多様な表現方法が次々と生まれる芸術の世界。技術や作品が持つ本質の素晴らしさ以外にも、時に斬新なアイデアで世間の注目を集めるケースも少なくない。先日、米フロリダ州マイアミビーチで開かれたある芸術祭では、在米韓国人の女性アーティストが行った展示パフォーマンスに、ひときわ注目が集まったという。彼女が行ったのは開催期間の4日間、ガラス張りの展示スペースの中で、豚2頭と共に裸で生活するというものだった。

米紙マイアミ・ニュータイムスや米ニュースサイトのハフィントンポストなどによると、この展示は米国でパフォーマンスアーティストとして活躍している、在米韓国人のミル・キムさん。彼女は12月1日から4日まで、今年で10回目を迎えた芸術祭「アート・バーゼル」に参加した。主催者が「米大陸で最も評判の高い」(アート・バーゼル公式サイトより)と胸を張るこの芸術祭は、世界にある著名な260以上のギャラリーが参加し、2,000人以上のアーティストが手掛けた作品が公開される、とても大きな芸術イベントだという。

その一角に出展した、今回のキムさんの作品。草藁が敷き詰められた飼育小屋のようなスペースの中に、作品の主役となる2頭の豚と、真っ裸のキムさんがいた。これには芸術祭に集まった多くの人がつい足を止めて注目したそう。その状況をマイアミ・ニュータイムス紙は「恐らくバーゼルで最も騒がれたショー」と紹介し、大きな話題を呼んだと伝えている。

パフォーマンスアーティストというだけあって、キムさんはこれまでにも自身の裸を利用した作品作りを行ってきたようだが、豚に着目したのは彼女が抱いた愛着が理由だそうだ。名門コロンビア大学医学部出身のキムさんは、在学時に豚の解剖などで勉強を重ねると、「生理学的に見れば、人間となんて似ているのだろう」(ハフィントンポストより)と、豚に対して愛着を感じるようになった。

最近ではトルコの養豚場を舞台に、飼育されている豚たちに裸で紛れ込んで撮影した写真「国際的な称賛を得た」(英紙デイリー・メールより)というキムさん。そんな活動状況もあって、今回のアート・バーゼルでも豚2頭と裸の自分を作品として展示し、同時にUstreamでの配信も行った。

もっとも大好きな豚との生活といっても、「臭いのレベルは毒みたいなもの」(ハフィントンポストより)とその苦労も話す彼女。草藁に寝転がるのも「簡単ではない」というが、それでも「すべての生命体は基本的に似たようなもの」という考えを表現するために、この展示を行ったそうだ。

12月4日までの期間中、彼女が豚と一緒に生活した時間は合計104時間。彼女が豚の臭いや生活環境に苦労しながらも頑張れるのは、「一緒にいると、私の存在を今まで以上に感じられる」(デイリー・メール紙より)といった、自己確認の満足感もあるからだという。

そうした考えから行った彼女のパフォーマンスは、注目度を伝える欧米各メディアの記事を見ると、どうやら大成功だったようだ。ちなみに、今回の“作品”のために農場から買い取った2頭の豚は、今後「ペットとして飼ってくれる家族を見つけるか、引き取ってくれる農場を探す」としている。

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