“階段恐怖症”に悩んだ38年間、息子と城巡りするために治療を開始。

2011/11/29 18:14 Written by Narinari.com編集部

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英国のある女性は、日常生活の中で頻繁に出くわすモノに恐怖心を抱き、38年間もの長きにわたり困っていた。彼女が苦手だったのは階段。ステップに足をかけると、途端に恐怖に襲われパニック状態に陥るほどだったという。とはいえ、どこに行っても階段を利用する機会は多く、そうなった原因も不明だった彼女は、治療を受けて“階段恐怖症”を克服しようと決意したそうだ。

この恐怖症に悩まされていたのは、英中部の街コベントリーに住む43歳のルイス・ウィルソンさん。英紙デイリー・メールなどによると、彼女が階段に恐怖を感じ始めたのは「5歳の時から」。「高いところに上るのが恐い」という不安は年を重ねるごとに大きくなり、日常生活においても大きな支障をきたすようになった。

20代の頃には買い物に出かけたデパートで、乗っていた上りのエスカレーターが突然故障するハプニングに見舞われ、辛い思いをした経験がある。動いていれば問題なかったようだが、このときは停止して階段状態になったエスカレーターが急に怖くなり、普通に足で降りることができないため、手すりにしがみつきながらお尻を付いて下の階へ避難したそうだ。これには「周りの人はきっと私が酔っているか、おかしな人だと思ったのでは……」と、彼女は“階段恐怖症”を抱える辛さを語っている。

ほかにも仕事をしようと面接に出かけると、事務所へ入るのに階段を利用するほかないと分かり断念したことも。最近は子どもが世話になっている先生と話すため学校へ出向いても、階段を使って教室に行けず先生を1階に呼び出したり、車で旅行に出かけて食事のためにサービスエリアに寄っても歩道橋向こうのレストランに行けずと、何かと苦労が増えて来たそうだ。そして、彼女の息子が「城に興味を持ちだした」と分かった今年9月、息子と一緒に城巡りをしたいと思ったウィルソンさんは、ついに専門家の元へ治療の相談に行こうと決意した。

彼女が訪れたのは、コベントリーで催眠療法を手掛けるラッセル・フレッドさんの診療所。当初、彼女の説明から高所恐怖症かと思ったフレッドさんは、質問を進めて「彼女が本当に恐れているのは階段のほう」と理解したそう。さらに、そうなった原因が分からない彼女に対し、催眠から過去の意識を紐解いていくと、彼女が小さい頃に階段の上から落ちた経験があったことを突き止めた。ウィルソンさんは自身の記憶から消えていたこの出来事がトラウマとなり、無意識のうちに階段を恐れるようになっていたと見られる。

原因を突き止め、自分が何を恐れているのかはっきり分かった彼女は、その後治療を重ねると階段に対する恐怖も和らぎ、少しずつ階段を利用できるようになったという。これまでは“階段恐怖症”を抱えた自分を「恥ずかしかった」と話すウィルソンさんだが、階段を使えるようになってきた今は「しっかり人生を送り始めている」と、心の闇を取り払い晴れ晴れとした様子だ。

まだ階段は「100%快適とは言えない」というものの、「やりたいことがいっぱいある」と前向きに出かける気持ちが芽生えているようで、近いうちに家族とのお城巡りも楽しめるようになるのかもしれない。

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