アナグマが地下掘り校舎危機、空洞上の教室閉鎖も穴埋める予算なし。

2011/11/20 13:05 Written by Narinari.com編集部

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英国のある小学校は現在、地下でいつの間にか進行していた危機が発覚し、倒壊の不安を抱えているという。その原因を作ったのは、動物のアナグマ。調査の結果、学校敷地内の地下で7.5トンもの土を掘っていたことが分かり、その空洞が一部の校舎下にまで及んでいたそうだ。

英放送局BBCや英紙デイリー・メールによると、この問題に直面しているのは、英南西部サマセット州ウェストン・スーパー・メアにあるアシュコーム小学校。420人の生徒たちが通うこの学校では、40年間使用されている校舎の老朽化も課題だったが、昨年、それ以上に大きなアナグマの問題が分かったという。巣穴を作るためにアナグマが掘った大きな空洞は、子どもたちが使用する2つの教室の地下にも及んでいたため、学校側はこれらの教室を閉鎖。教育委員会も修繕に向けて対策に乗り出している。

英国では保護種に指定されているアナグマ。そのため「繁殖期を妨害するのも違法」(デイリー・メール紙より)となっており、学校側はそれが始まる昨年10月末までの3か月間をかけて、専門家を呼び地下に棲んでいたアナグマを移動させた。ところが、アナグマの移動には成功したものの、空洞を埋める処置までは行われず、先生や子どもたちは今も倒壊の危機にさらされた校舎で授業を続けている状況だ。

これには先生や保護者も心配しているそうで、校長は穴に建物が落ちないかと気が気でない。それならば早く穴を埋めれば良いのにと思うところだが、ここで小学校に立ちはだかったのが英政府から支出される修繕関連予算の縮小だ。それまで「4万4,834ポンド(約550万円)」(BBCより)拠出されていたこの学校の予算は、昨年、政府が債務削減のため舵を切った緊縮財政策のあおりを受け、昨年度は「8,703ポンド(約100万円)」へと激減したという。

そこへアナグマの移動に多くのお金を費やしてしまい、それ以上の対策は打ちたくても打てないのが実情。さらに、40年経った校舎の湿気対策や老朽化の問題も抱えているため、あちこちの修繕が必要と校長は訴え続けているが、やはり支出削減を迫られた地元自治体からは一切費用面で協力してもらえずにいる。こうした姿勢には疑問の声も出ているが、自治体側は「大規模な改築や建て替えの必要が迫られた状況となれば、資金を拠出できる」とし、地下に穴はあっても、実用上は問題の起きていない現状では、学校をバックアップする必要はないと考えているようだ。

とはいえ、校舎の修繕や倒壊の危機に加え、アナグマが地下に持ち込んだ獲物の腐敗臭も大きな懸念材料になるなど、子どもの安全に対する問題が山積しているアシュコーム小学校。「ここは素敵な学校で、素晴らしい雰囲気がある」と胸を張る校長は、学校の環境改善を少しでも進めようと日々「闘っている」と話している。この小学校がどのように今回の問題を対処していくのか、英政府の支出削減による影響のシンボルとして、同国内では注目を集めているようだ。

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