ピッチ脇に侵入して堂々観戦、チケットないサポーターが監督の横に座る。

2011/11/19 12:12 Written by Narinari.com編集部

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先日、サッカーの欧州選手権予選が行われたエストニアでのこと。応援に来ていたアイルランドの男性サポーターが、敵チームの関係者になり済ましてピッチ脇のベンチにまで侵入するハプニングが起きた。このサポーター、一時は監督の横に座り、自国代表の活躍を見つめていたというから大胆不敵だ。

アイルランド紙アイリッシュ・インディペンデントやアイリッシュ・タイムズなどによると、驚きの行動に出たのは27歳のアイルランド人サポーター、コナー・カニングハムさん。2002年のW杯日韓大会以来、欧州の強国に阻まれ大きな国際大会への出場がなかなか叶わなかったアイルランド代表にとって、11月11日・15日は非常に重要な2日となった。

ヨーロッパではこの2日間、2012年にポーランドとウクライナで共催して開かれる欧州選手権予選を開催。9組に分かれて昨年から行われていた予選リーグが終わり、各組1位の大会出場は決定、B組で2位に入ったアイルランドはC組2位のエストニアと、出場権を得る最後のチャンスに臨む運びとなった。

そして、アイルランドがエストニアに乗り込んでプレーオフ第1戦が行われた11日。自国代表の勝利を信じ、はるばるエストニアまで友人10人と駆けつけたカニングハムさんだったが、残念ながら観戦チケットを入手していなかった。現地で調達しようとダフ屋に声をかけると、「14ユーロ(約1,450円)のチケットが600ユーロ(約6万2,000円)」(アイリッシュ・タイムズ紙より)で売られている始末。そこまでのお金は使えなかった彼は、ほかの10人がチケットをしっかり手に入れてスタジアムへと消えた中、1人どうやって観戦しようかとスタジアムの周囲をうろついた。

何とかしてスタジアムへ入ろうと考えたカニングハムさんは、まず、警備員のフリをして侵入しようとするも、あっさり見破られ失敗。ところが、ふと近くにドアが開いている入口を発見して中に入ると、そこにはサッカーボールが入った袋と、エストニア代表関係者が着るジャージがあった。これを手に入れた彼は、着ていたアイルランド代表ユニフォームの上にこのジャージを羽織ると、誰にも疑われずにピッチサイドへの侵入に成功。その後、怪しまれないよう関係者になり済まそうと、大胆にもエストニア代表のペンチへと向かう。

そして誰にも気づかれぬまま、彼はエストニア代表のタルモ・リュートリ監督の横にいる状況で、試合がキックオフ。すると始まって15分後、様子を見ていた第4の審判が、初めて彼の存在を怪しんだという。「何をしているのか」(アイリッシュ・タイムズ紙より)とたずねられたカニングハムさんは、とっさに「ボールボーイです」と答えて切り抜けると、今度はベンチからカメラマン脇へと移動し、再び観戦。しかし開始30分後、再び別の関係者に目を付けられた彼が連れていかれたのは、前から6列目に用意されたスタンドの関係者席で、結局チケットを買わずとも最後まで素晴らしい視点から試合を楽しんでしまった。

アイルランド代表も4-0でエストニアを下し、大喜びのカニングハムさん。この後、関係者の目をすり抜けて再びスタジアム内の一般進入禁止エリアへ入った彼は、今回の行動を「友だちは信じないだろう」と、選手がインタビューを受けている場面を間近で撮影するなど、YouTubeへ複数の動画を投稿している。結局この行動で、「エストニアのジャージを着た人が、何でアイルランドの勝利を喜んでいるのか」と疑ったエストニア代表関係者によって素性がばれ、追い出されたそう。この件について、アイルランドサッカー協会は「把握していない」とコメントを避けているが、カニングハムさんは「人生で最も驚くべき経験」と興奮しているという。

ちなみにアイルランド代表は、ホームで行われた15日の第2戦で1-1の引き分けに持ち込み、トータルスコア5-1で本大会出場を決めている。



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