ネット発のデマに中国が混乱、高速鉄道の“爆睡運転”報道も嘘と断定。

2011/11/10 14:34 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、中国福建省アモイ発浙江省寧波東行きの高速鉄道D3212列車で、運転中の運転士が居眠りしていたことがネットユーザーの指摘により発覚、中国外でも報道され物議を醸したが、実はこれがデマである可能性が高くなった。もともとネットユーザーの写真投稿に端を発する今回の騒動。中国では最近、こうしたネット発のデマ情報が氾濫しており、国民だけでなく、メディアをも巻き込んだ一大騒動に発展するケースが増えている。

今回の“居眠り運転士”はネットにアップロードされた数枚の写真が事の発端。運転士が背もたれにもたれかかり、頭を右に傾けていたり、左に傾けていたりする写真が掲載され、「時速200キロで走行中に運転士が爆睡」などとして中国はもちろん、日本を含む海外メディアでも注目を集めることになった。

しかし11月7日に南昌鉄道局が発表した調査結果では、“居眠り運転”はデマと断言。その証拠として、ユーザーが写真を投稿した時刻が18時37分である点を挙げ、「D3212列車が出発して間もない時間帯であり、運転士の居眠りは有り得ない」と否定している。そして「列車運行中には50秒ごとに居眠り運転防止装置が働くようになっており、運転士が7秒以内に応答しなければ警報が鳴り、それでも応答がなければ列車は自動的に停止するようになっている」という仕組みがあるため、その状況下で居眠りをしていることは考えられないというわけだ。なお、写真を投稿したユーザーは「深刻なデマを流布した」として、微博(中国版ツイッター)アカウントの利用停止措置が取られている。

中国ではここ最近、微博を用いたデマ情報が氾濫している。例えば“居眠り運転士”の1週間ほど前には、“セクハラ歯科医”という話題が微博を中心に注目を集めた。これは上海の歯科医が治療中に女性患者の目を閉じさせ、患者の口に自身の性器を突っ込んだという内容で、微博にこの内容が掲載されるや否や瞬く間に次々と転載され、多くの人が知るところとなった。その後、一部の中国メディアにより「この内容はデマである」とする報道がなされたが、最終的には事実と判明。ネットユーザーだけでなく、メディアさえも微博の情報に踊らされている現実が浮かび上がってきた。

“居眠り運転士”の数日前には、「重慶の宿舎で西南航空のキャビンアテンダント9名が惨殺された」というニュースが微博を駆け巡ったことも。こちらも中国に西南航空という航空会社自体が存在しておらず、デマであることが判明した。日本でも報道された“女性泥棒のさらしもの事件”も、後にデマの可能性が浮上。ネットに投稿された現場写真の雰囲気が現在の季節感とまったく異なるとして、別の場所・時間に撮影されたデマ情報であると認定された。

中国政府は現在、社会的影響力を強めている微博のデマをかなり恐れており、運営企業と共同で監視の目を強めているが、こうしたデマが増えれば増えるほど、監視が強化されてゆくのは自然の流れ。一部識者から“中国を変えられる最後の希望”とまで言われて期待されている微博だが、本当の意味でその力を発揮させていくためには、こうしたデマが大きな足かせとなっていることは言うまでもない。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.