英番組が病死男性でミイラ作り、古代エジプト式では3,000年ぶりの挑戦。

2011/10/21 08:09 Written by Narinari.com編集部

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61歳で亡くなった英国の元タクシードライバーが生前、自身の体をミイラ化する契約をテレビ局と締結。今年1月の死後、数か月にわたってミイラとするべく処置が施された――。その模様を追ったドキュメンタリー番組「Mummifying Alan: Egypt's Last Secret」が放送される10月24日を前に、“古代エジプト式”で人間がミイラになるのは3,000年ぶりと話題を呼んでいる。

この男性は、1月にこの世を去ったデボン州トーキーのアラン・ビリスさん。英紙デイリー・テレグラフなどによると、生前、末期の肺がんと診断されていたビリスさんは、ある日新聞に英放送局チャンネル4が出していた募集に気が付いた。“自分の体をミイラ化させてくれる人募集”の広告に、日頃から「ドキュメンタリー番組好き」(英紙デイリー・メールより)だった彼は、家族にも相談せず応募。「多くの人たちがこれまで科学に自らの体を捧げてきただろう。もし誰もいなくなったら、何も発見はないんだ」と考える夫に、事後報告された妻のジャネットさんは当初「何言ってるの?」と耳を疑ったそうだ。

しかし、最終的にはジャネットさんも「ミイラの夫を持つこの国で唯一の女性ね」(デイリー・テレグラフ紙より)と納得。かくして1月にビリスさんが他界した後、すぐにミイラ化への作業が始まった。この作業は、古代エジプトで行われていた死体防腐処理などの技法を20年にわたって研究しているヨーク大学のスティーブン・バックリー博士が指揮したという。

良いミイラ作りを目指して、シェフィールド法医学センターへと運ばれたビリスさんの遺体。脳と心臓以外の臓器を摘出して体の消毒と乾燥を行うと、「エジプトのような高温多湿」(英紙デイリー・ミラーより)にも耐えられるよう油やろうで皮膚を保護し、その後、約1か月以上塩水に漬けられた。そして3か月ほどじっくり乾燥させ、麻の包帯を全身に巻いて完成。出来上がった夫のミイラと対面したジャネットさんは、「彼の体が固くなっていると思ったら、実は柔らかくて興味深かった」と語ったそうだ。とはいえ、さすがにミイラとなった夫の顔を見たら「冷静でいられないかも」と思い、顔は包帯を巻いたままで会ったという。

ビリスさんのミイラは、実験に関わった法医学者のピーター・ベネジス教授曰く「非常に成功したと確信している」(デイリー・メール紙より)ほどの出来栄え。生前、自分がミイラになると決まり「注目の的になって楽しんでいた」というビリスさんだが、その過程をまとめた10月24日の放送を、自身の目で確かめられないのが「唯一、残念なこと」(デイリー・テレグラフ紙より)とも語っていたそうだ。ただ、今後多くの科学者たちにとって貴重な研究資料となった自分の体に、ビリスさんもあの世で大いに満足していることだろう。

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