仏マックがフランスパン導入、2012年下半期にはサンドイッチも投入へ。

2011/10/04 12:39 Written by Narinari.com編集部

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フランスのマクドナルドは9月末から、カフェ業態「マックカフェ」の新メニューとして、大きな挑戦とされる「タルティーヌ(フランスパン)」の販売を始めた。フランスパンはフランス人にとって日本のお米のような象徴的なものだが、「マックカフェ」の売上げの25%を占めるモーニングメニューの売上げをさらに伸ばすべく、このたび導入に踏み切ったという。

フランス全土に134店舗を構える「マックカフェ」は、2004年の展開開始以来、多くの保守的なフランス人に受け入れてもらうためのローカライズとして、クロワッサンやマカロンといった商品を提供してきた。今回は、日本では「ラデュレ」や「PAUL(ポール)」で知られるオルデーグループ社のフランスパンを導入している。マクドナルドでフランスパン――いったいどのようなものなのか、ナリナリドットコムのフランス特派員が早速試食に行ってみた。

フランスのパンといえばバゲットが有名だが、この名称は長さや重さといった厳しい基準の下につけられるため、仏マクドナルドはこの名称を「タルティーヌ(ジャムやバターを塗るパン)」として販売している。店舗での価格はドリンク付きで3.5ユーロ(約360円)、ドリンクを注文せずにパンとジャム、バターだけなら1.5ユーロ(約150円)だ。

この「タルティーヌ」、とても小さく可愛らしいサイズで、長さは12センチほど。これが2つで1セットになっている。小麦の香りは若干薄いように感じられたが、固めの皮を付属の金属ナイフで切り取ると、パンの匂いが広がっていく。パンそのものの味は塩味や小麦の甘みを感じさせるような、個性をそれほど主張するものではなく、口に入れたときにほろりとしやすい印象を受けた。パン単体だけで考えると、街のパン屋さんのバゲットが極めて安価なフランスにおいてはやや割高に感じるかもしれない。

しかし、このメニューの最大の魅力は付属のジャムとバターにある。フランスの有名なバターとして知られるイズニーバターが、この、ともすれば無個性のパンの味を一気に引き上げるほどの素晴らしい味なのだ。さらにピレネーのコンフィチュール会社によって作られている、特製の可愛らしい容器に入ったイチゴ、マーマレード、それにアプリコットの3種のうち1つを選べるジャムとの組み合わせ(マリアージュ)が、このパンの隠れた魅力を引き出すことに成功している。

正直なところ、このジャムとバターを1ユーロで販売してもらえるなら、これだけ単品で買っても良いとさえ思ったほど。パン、バター、ジャム、これら3つはすべてフランスのものを使うことで、フランスへの利益導入も果たしている。これらの見事なマーケティングや、ジャムの容器などのコストを考えると、仏マクドナルド社はこのメニューで儲ける気はないのではないだろうかと思うほどの気合いを感じられる一品だった。

実は仏マクドナルド社にとって、このフランスパンの販売は始めの一歩にしか過ぎない。2012年下半期にはこれらのノウハウをもとにしたサンドイッチの投入を予告している。多くの味をすでに開発中とのことで、“巨人”がフランスパンを使ってどのようなサンドイッチを提供するのか、今後の展開に期待したいところだ。

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