34年間ペンキ塗り1.5tの球に、ただの野球ボールが“継続は力”で世界一。

2011/09/28 14:13 Written by Narinari.com編集部

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9月15日に最新版となる「ギネス・ワールド・レコーズ2012」が発売され、世界に存在するさまざまな記録を見聞きした人も少なくないだろう。日本からは今回、ジャニーズ事務所の総帥・ジャニー喜多川社長が「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」として認定され注目を集めたが、同時に認定された13頭の犬による大縄跳び53回の記録のように、アイデア次第で誰にもチャンスがあるのがこの記録の魅力だ。そんな1人である米国の男性は、1977年から野球のボールにペンキを塗り重ねて重さ1.5トンにまで成長させ、「世界一のペイントボール」のギネス記録を保持している。

この世界一のボールを作ったのは、米インディアナ州アレクサンドリアで暮らす64歳の男性、マイケル・カーマイケルさん。彼が作り上げたのは、現在「円周179センチ」「重さ1,587キロ」(英紙メトロより)となった、巨大なカボチャのような球だ。今では建物の破壊に使う鉄球のようにしか見えない大きな球の始まりは、もともと「円周22.9センチ」のただの野球用ボール。1977年からひたすらペンキを塗り重ねて成長させ、その作業に34年を費やした結果、世界一と認定される作品を生み出したというわけだ。

カーマイケルさんの公式サイトによると、このアイデアを思い付いたきっかけは、彼が高校生だった1960年代までさかのぼる。高校の野球チームに所属していたカーマイケルさんは夏休みのある日、アルバイトをしていたペンキ屋で友人たちと店の中でキャッチボールを始め、誤ってペンキ缶に当ててボールをペンキまみれにしてしまった。当然、そのときはボールをきれいにしたものの、その様子を見て、ボールにペンキを塗り重ねて大きくしていくアイデアが閃いたという。

それから高校を卒業するまでにさまざまな色のペンキを使い、大きさや円周を記録しながら1,000回塗り重ねたカーマイケルさん。卒業を機にペイントボール作りはいったん終了し、球はその後博物館へ寄贈したという。しかし、やがて大人になって結婚し、息子も生まれて幸せな家庭を築いていた彼は、1977年に新たなペイントボールを作ろうと決意。こうして1977年1月1日、1個の野球ボールを用意したカーマイケルさんは、息子のマイク・ジュニアくんに灰色のペンキを塗ってもらい、新たな一歩を踏み出した。

以来、34年間ペンキを塗り続けたボールは実に2万2,894回も塗り重ねられ、ギネス・ワールド・レコーズ社から「世界一大きなペイントボール」として認定されるまでに成長。ボールにペンキを塗るだけの単純かつ気軽にできる作業だが、まさに“継続は力なり”で世界一の作品を生み出した。

「乾燥した日なら、1日に10回は塗り重ねられる」と、未だボール作りに没頭している日々。ただ、ボールが成長するにつれてペンキもかなりの量が必要になるようで、これまでにペンキ代だけで「数千ドル(1,000ドル=約7万6,000円)使った」という。ちなみに彼のボールには、近隣のみならず世界中からペンキを塗りにやって来るほど有名になっているそうだ。

今のところ終わらせる予定もなく、今後もボールを成長させるつもりとのこと。6人いる孫も興味を示したというこのボールは「たぶん、一家の家宝になるんじゃないかな」と嬉しそうに話すカーマイケルさんがどこまで大きくさせていくのか、楽しみなところだ。

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