少ない駐車場に怒り教授辞任、改善しない大学への30年の不満が爆発。

2011/09/04 10:49 Written by Narinari.com編集部

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先日、カナダのある教授が大学側に長年の不満を爆発させ、突然辞任するという一件が起きた。30年間務めた大学に教授が抱いてきた不満。それは「駐車場が少ない」ということだった。

カナダ紙トロント・スターなどによると、この辞任劇の主人公は、カナダ東部ノバスコシア州のダルハウジー大学で政治学を教えていたダン・ミドルミス教授。この大学は生徒数が1万7,000人、職員3,000人の計2万人が在籍する大きな学校だ。ところが、大学に用意されていた駐車場の数は、その10分の1にあたる約2,000台分のみ。この点について大学側は多くの生徒や職員らが「公共交通機関に乗るため」との見解を示しているが、実際には車でやってくる人も少なくない。そのため、大学側は車の利用者に対して毎日駐車パスを発行し、乗り入れる車の数を制限してきたという。

ところが昨年度、大学側がこのパスを発行しすぎてしまい、今年度からパスの枚数を少なめに抑える施策を導入した。結果、駐車パスを求める競争がさらに熾烈に。そして新学期を迎えた8月29日、ミドルミス教授がこのパスを求めて並んだときには、4時間も待たされる人がいたほどの行列になったそうだ。しかも、駐車パスは教授の少し手前で完売。そして「翌日また来てください」との事務的な言葉を聞いた教授は、この状況に疲れを感じ、大学を辞めようと決めた。

この理由に、カナダ国内のメディアも教授の辞任劇を広く報道。トロント・スター紙の取材に応えたミドルミス教授は、「あまりにも馬鹿げている。30年も不満だったんだ」と大学側の運営を痛烈に批判した。

話によると、教授はキャンパスがあるハリファクスから少し離れた郊外に自宅があり、長年自動車を利用して大学へ通勤。しかし、以前から駐車スペースの確保が難しいため、教授は午後2時半からの授業に間に合うように、これまで「朝6時半から7時くらいに家を出ていた」(カナダ放送局CBCより)という。

また、大学までバスで行くための駐車場も探したというが、バス乗り場までも20分かかる上、ほとんど満車となっているとして「他のオプションは除外した」そうだ。そんな苦労を我慢して30年、教授は「大学が“駐車問題”はないと嘘をつき続けている」と不満が爆発してしまい、これ以上我慢できないとして「辞任した」と説明している。

大学側も駐車問題の改善に取り組んできたというが、新たなスペースを確保するコストの問題もあり、駐車パスの発行でやりくりしているのが現状だ。最も不幸なのは、教授の教えを受けられなくなった学生たちかもしれないが、当の本人は辞任の決断に全く後悔はないという。

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