“思い出の歌”で救出された犬、収容施設で歌に合わせて吠え処分免れる。

2011/08/17 17:45 Written by Narinari.com編集部

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オーストラリアで82歳の男性に飼われていたある老犬は、3か月前に飼い主が亡くなった後、処分を待つ施設に収容されてしまった。そこで引き取り手が現れなければ、待ち受けているのは安楽死処分。しかし、この老犬は長年にわたり男性から聞かされた歌を覚えていたことがきっかけで、無事に身内のもとへ引き取られたという。

豪紙ヘラルド・サンによると、この犬はビクトリア州のエディー・バサロさんに飼われていた老犬パッチーズ。ずっと互いに寄り添い、幸せな時間を過ごしてきたエディーさんとパッチーズたったが、別れは3か月前に訪れた。いつも膝の上に乗せて可愛がってくれたエディーさんが82歳で他界したのだ。そして最愛の主人を失ったパッチーズは、混乱の中で人知れず檻の中へと入れられ、処分施設へと運ばれてしまう。  

ところが遠くシドニーで暮らす娘のマリーさんは、そんなパッチーズの行方を気にしていた。彼女には父とパッチーズに強い愛情を抱く理由がある。エディーさんは毎年家族の誕生日に電話をかけてきて、受話器越しに「ハッピー・バースデー」の歌をプレゼントするのが決まりだったのだが、そのとき受話器からは必ずパッチーズの声も聞こえていたそうだ。

「ハッピー・バースデー」を披露する間、一緒にリズムよく声を上げていたパッチーズ。歌い終わると「ブラボーブラボー、パッチーズ」と声をかけたというエディーさんは、「パッチーズは一緒に『ハッピー・バースデー』を歌うのが大好きみたいだ」と、マリーさんによく話していた。こうして、エディーさんとパッチーズの歌を誕生日に聞くのが「家族の伝統」となり、遠く離れていてもマリーさんはパッチーズを強く愛するようになったという。

そんなパッチーズの所在が父の死後、どういうわけかわからなくなってしまい、マリーさんはビクトリア州で犬の保護活動を行っている女性のもとに連絡。施設に入れられれば「少なくとも3週間」で処分されてしまうため、パッチーズの捜索を依頼し、ある秘策を伝える。それは、檻に入った犬の前で「ハッピー・バースデー」を歌うというものだった。

うまく行けば、パッチーズは“思い出の歌”に反応してくれ、すぐに見つけられるはず――そんなマリーさんの想いは見事に救出に繋がる。ビクトリア州北部のミルデューラにある施設にやってきた女性は、たくさんの犬たちを前に「ハッピー・バースデー」を歌唱。すると、懸命にリズムを合わせるように、一緒に声を上げ出した犬が1匹いたのだ。

当初「悲しげで遠くを見つめるような目」をしていたという彼は、彼女が歌い続けると吠えだし、一緒に最後まで歌い切ったとも。亡き飼い主との思い出の歌があったおかげで処分の瀬戸際から救出されたパッチーズはマリーさんが引き取り、シドニーでの新たな生活を始める予定だという。

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